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さよなら、オリーブビーチ  作者: 花守郁
第四章:旅立ちの汽笛
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04.

04

 二月上旬。澪の入試が行われる日で、航が引っ越しをする日。

 澪は、高松に前日入りするので島を出るのは一日ずれた。彼女の自宅から受験会場まで三時間はかかるので、試験開始の時間にどうあがいても間に合わないから仕方なかった。

澪は試験前日の夕方に。航は引っ越し当日の夕方に。それぞれ島を出ることになった。

 俺自身も高校の入試を控えているのだが、イベントとして、なんとなく負けている気がした。多分受かるしな、という自負がなぜかある。むしろ受からなかったら、どうしようなのだけれど。今の時代、通信教育とかもあるから学歴的には困らないのだが、通学することで得られる青春を謳歌したかった。高校生って、そんな感じじゃんと漠然とした大きな期待があった。澪と航はそこにはいないけれど、それはそれとして楽しまないと損だなと思う。むしろ、二人がいないから俺の天下というやつなのでは。

 なんて。我ながらバカだなと思うことを考えながら、なんとか二人の不在を前向きにとらえようとしていた。

 どうしようもなく、寂しさが湧いてくる。人生のほとんどを一緒に過ごしてきた存在が、遠くに行ってしまうのだ。親離れは始まっていると思うけれど、澪と航離れはまだ出来る気がしなかった。

 お見送りの時、なにを言おう。どんな顔をすればいいんだろう。絶対泣く、という自信だけがあった。

俺がこんなに情けないことを考えている間に、二人はどんどんと未来へ進む用意をしているのだろうなと空しくなる。二人はどんどん大人になっていくのに、自分だけが子どものまま取り残されて、埋まらないほどの距離になってしまうのではないだろうか。そんな不安が過ぎる。

 もともと、大人びている二人に、ついに追いつけなくなるような気がする。二人なら水斗はそのままでいいよとか、変な方に考えすぎとか言ってくれそうだけれど。

 自分はどうしたらいいのだろうか。自分の行くべき道は、分かっている。だけど、それだけでいいのだろうか。もっと、自分の未来のためになにかすべきな気がして、あいまいだけれど、かなり大きな不安が頭を占める。

 堂々巡りの思考を続けた。とりあえず、受験が終わらなければ何もできないのだからと落ち着く。

二人は、こんな悩みを一年前には経験済みだったのだろうか。歩みがあまりにも違うと思い知る。


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