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さよなら、オリーブビーチ  作者: 花守郁
第四章:旅立ちの汽笛
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01.

 僕たちは無事、二学期を終えた。

終業式のみで解散となった登校最終日。僕たちは昼前に帰された。

 これで受験に必要な材料は揃ったなというタイミングで入る、冬休み。すこしだけ、肩の力が抜ける心地だった。これからが本番なのだが、ひと段落というやつだった。

年越しはすぐだ。今年の初詣は初めて家族とではなく、三人で行くことになった。受験本番が近づき、無意識でもぴりぴりとした緊張感を背負ってしまっているから、家族も気を遣って適度な距離を取ってくれていた。息が詰まるような、とはいかないにしても、気は休まらない日々。かといって息抜きに用もなく外出するのは、なにかあったらと思うと憚られて、自分の部屋で本でも読みながらだらだら過ごすしかなかった。

なら、元日くらいはお互いに羽を休ませられるよう、初詣は受験生同士でいこうかという流れになった次第だ。

 これには特に、水斗が大喜びした。

「やったー! 俺の家、異常に構ってくるから大変でさ~」

「ああ…」察しがついて、頷いた。

 農家特有というか、一次産業者の力であり余っている作物。それで作ったあれそれを食べさせようとする光景が目に浮かぶ。

成長期なんだから、特に受験生なんだから体には気をつけろ、食べろと渡されるのだろう。水斗は食べっぷりがいいし、断れないからなおのことだろうなと思う。これから年末年始。おせちとかすごそうだ。

「親よりもじいちゃんばあちゃんがそわそわしてて大変だよ」

「初孫の受験ってなるとどうしたらいいか分からないのかもなぁ」

 かわいい孫の大変な時期。それだけ分かってはいるけど、現在の受験についての知識がほぼない人たちはどうしたら正解なのか見当もつかず、とりあえず出来ることをやろうという不器用な応援なのだろうと予想した。想いはまっすぐなのに、やり方に癖があるのが吉田家の血を感じて微笑ましかった。

 水斗が困るよなくらいの軽い反応をしているのが、より面白い。

「そいえば澪、受験の日決まったんだって?」

 さきほどから黙りこくっている澪に、聞いてほしいのだろうなと直球を投げかけてみた。

 澪は壊れたロボットのようにぎぎぎと見上げてきた。

「…そう…、そうなの…」

 日程をきくと、二月上旬の週末だった。その日は、僕にも予定があった。

「その日、僕、引っ越しだ」

「「え?」」見事なまでに、二人の声がそろっていた。

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