↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/89

謎のカード

「なんで笑ってるの? シルバー」

 肩の上からログチーが尋ねてくる。

「は? 笑ってねぇし!」

「ほんとに素直じゃないんだから……」

 ログチーが呆れた様子で俺を見る。


 視線を横に向けると、背中側で何かが揺れた。


「……ん?」

 思わず、眉をしかめる。

「なんだこれ……マント?」

 手でマントを掴む。


「正装にはやっぱりマントがないとね!」

 ログチーが、けらけらと笑う。

「さらに盛るな!」

 ログチーを軽く叩く。


 身体を動かすたびマントが揺れ、銀のチェーンがかすかに鳴った。


「……はぁ」

 額に手をやり、やれやれと小さく息を吐く。

(コスプレ感半端ねぇな)


 いったん服装のことは諦め、ログチーに尋ねる。

「なぁ」

「どうしたのシルバー?」

「さっきのやつ」

「さっきのやつ?」

「うん……。さっき過去に戻ったじゃん? あれって……一体どれぐらい戻れるんだ?」


「んー」

 ログチーは、手を口元に当てながら答える。

「そうだねぇ、今のシルバーだと三日くらいかなぁ」

「今の……俺?」

 ログチーは、にやっと笑う。

「だってまだ覚醒したばっかじゃん」


 そう言った後、ログチーの声のトーンが落ちた。

「これからどうなるかは、キミ次第だから……上手く言えないけどさ」

「俺次第……」

 無意識に手に力が入る。


「……じゃあ例えば、能力次第ではもっと過去に……三年前とかに戻ることもできるのか?」

 

 ログチーが、きょとんとした顔でこっちを見る。


「三年前?」


「……出来るのかっ?」

 自分でも驚くほど声が強張っていた。

 思わず、ログチーを力強く掴む。


「むぎゅっ」

「ちょっ——!」

「あ、わりぃ」

 すぐに手を離す。


 ログチーは、一瞬だけ真顔になり答えた。

「……それは、無理だよ。さすがにそこまでは戻れない」


「まあ……そうだよな」

 ため息混じりに呟いた。


 ログチーが軽く首を傾げながら尋ねてくる。

「三年前に何かあるの?」


「記憶……」

「記憶?」

「あ、いや、ただ聞いてみただけだ」


「ふーん?」

 どこか納得していない声。

 俺は、ログチーの言葉を遮って尋ねた。


「さっきのやつ……もう一回やってみたいんだけど、いいか?」

「えっ?」

 ログチーの顔が急にぱぁ〜っと明るくなる。

「もちろん! じゃあもう一回やってみようか? やり方は大丈夫?」

「ああ……イメージするんだろ?」

「そうそう!」


 俺はゆっくりと目を閉じる。さっきやってみた感覚をなぞりながらイメージを固めていく。

 指先に微かな違和感を感じた瞬間、そのまま視界がぐらりと揺れた。


◇◇◇


 ふと気づくと冷たい空気が肌を刺す。

 薄暗い夜。見慣れた自分の家の前。


「……また俺の家?」

 ポケットからスマホを取り出し、日時表示を見る。

 日付を見た瞬間、胸の奥がざわつく。


 この日は……?

 じいちゃんを縁側に呼びに行った日!


 周りを少し警戒しながら、ゆっくり庭に入り、そのまま縁側の方向に足を向けた。

 足が止まる。中にいる自分と鉢合わせするかもしれない。

 どうしようかと考えていると、足元に何かが落ちているのに気づいた。


 小さな黒いカード。

 拾い上げようとして手を伸ばした。


「……っ!!」

 触れた瞬間、それは奇妙な熱を持っていた。生温かい人の体温のような温度。


 手にあるカードを見ると、縁には細かな装飾。裏返すと右下に、小さく「At」の文字。


「なんだこれ」

 一人ポツリと呟く。


 その時、「じいちゃん?」と自分の声が聞こえてきた。はっと顔を上げる。


 自分の声に驚き、周りに視線を巡らせる。


 暗がりの奥に影がわずかに揺れているのが見えた。反射的に身構え、様子をうかがう。

 心臓がドクンと鳴り、背筋からは汗が一筋落ちた。


 ガタン——

 どこかで物音が響いたその瞬間、


「シルバー! ダメ!」

 ログチーが叫ぶ。


 再び視界が歪んでいく。身体が、強引に引き戻されていく。


◇◇◇


 気づくと自室に戻っていた。

「……はぁ……はぁっ」

 荒くなっている呼吸をゆっくり整える。

「シルバー大丈夫?」

 涙目でログチーを見つめる。

「はぁ……なんで……」

「シルバー、無理に喋るのよしなよ」

 

 ようやく呼吸が落ちつき、ログチーに言った。

「なんでこんなに息苦しいんだよっ」

「なんでって……ただの時間酔いでしょ? 慣れだよー」

「雑だな、やっぱ」


 視線を手に向ける。手の中を見ると、そこにはさっき拾った黒いカード。

「拾ったままだった……」


 ログチーがカードに顔を近づけてくる。

「クンクン」

「お前、犬みたいだな」

「もう黙っててよ!」

 

 ログチーが鼻をひくつかせる。

「これ、シルバーと同じ匂いがするよ?」

「は? 俺のじゃねぇし!」

 即座に返す。


「お前の鼻、詰まってんじゃねーの?」

「はぁ!?」

 ログチーが頬を膨らませる。


「失礼なこと言うな!」

 ログチーは小さな体で俺を叩く。


 俺は気にせずベッドに倒れ込み、小さく呟いた。


「……Revert」

 手の中のカードを見る。


「ただのカード?」

 じいちゃんのだろうか? 考えても分からない。だんだん瞼が重くなり、そのまま意識が沈んでいく。

 眠りに落ちる寸前、手の中の熱がまるで心臓の鼓動と重なったような気がした。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


「続き気になる!」と思ってもらえたら、ぜひ応援お願いします!

ブックマークやリアクション、評価(★★★★★)を

してもらえたら、嬉しいです。


◇動画配信も始めました。

⭐︎YouTube⭐︎

https://youtube.com/@ren_kurose0404

⭐︎TikTok⭐︎

https://tiktok.com/@ren_kurose0404


良かったら覗いてみてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。