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銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
動き出す気持ち

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60/66

深まる違和感

誰もいない部屋で、俺はまたシルバーへ

変わる――


もちろん、正装姿ではなく、清掃員姿で。


「……ふぅ」


「あれ?シルバー、昨日に戻るんじゃないの?」


ログチーが不思議そうに見ている。


ため息をつき、呆れながらログチーに返す。


「……お前、バカだろ?」


ログチーがほっぺたを膨らませながら、

耳元で騒ぐ。


「バカって何さ?ひどくない?」


「……」


「え?無視ー?無視なのー?」


ログチーが耳を甘噛みする。


「……っ!何すんだよ!」


「だってぇ〜、無視するから、さ」


歩きながら、ログチーに言う。


「……場所」


「んー?場所ー?」


「ああ……過去に戻った時、時間は戻るけど、

場所は変わらないからさ」


「シルバー!」


「ん?」


「すごいじゃん!意外と考えてる!」


満面の笑みでこちらを見るログチー


「てか、お前がバカなんだよっ」


ログチーは俺の耳を今度は思い切り噛んだ。


「……っ!?」

(声にならない声)


思わずその場にうずくまる。


ログチーが鼻息を荒くしながら


「今のはシルバーが悪いんだから!」


「……だとしても、加減しろよ!」


耳をさすりながら、俺は周囲を見回す。


誰もいないことを確認しながら、校門を出た。






坂中のことは小学校から知ってる。

特に仲が良かったとかではなく、母親同士が

仲が良く、アイツの家は知っていた。


とりあえず過去に行く前に坂中が自宅に

いるかどうかを確かめてからだ!


足早に坂中の自宅へ向かうが、

その途中で、一昨日の大通りを通る。


「ん?」


「どうしたの?シルバー?難しい顔して」


「……あ、いや」

(なんだ?)


事故があったはずなのに、

あれだけ騒がしかった場所なのに

誰も事故の話をしていない?


……おかしくないか?


そういえば、あのバイク……

人が乗ってたはずなのに、誰もいなかった。


違和感だけがどんどん増えていく。


嫌な予感が消えない。

もし坂中が家にいなかったら

もし、昨日の事故が関係していたら?


もし――


「シルバー?」


ログチーが不安そうな声を出すが

俺は全くログチーの声が頭に入ってこなかった。


あれこれ考えてるうちに、

坂中の家の近所についた。


視線を向けると

家の前にはパトカー。


「パトカー?」


様子を近くから伺う。


あれは――


「……大地と白石?」


白石の顔が真っ青だ……

明らかに様子がおかしい。


気づくとまた

ポケットのカードが熱を帯び始める。


カードを取り出すと

また文字か変わっていた――


『選択肢を間違えるな』


文字を見た瞬間、

心臓が嫌な音を立てた。


「……意味、わかんねぇよ」


カードを無意識に握りしめる。

嫌な予感だけがどんどん膨らんでいく。


パトカーに警察官。


そして――

家の前に立つ大地と白石。


二人はもちろんこちらには気づいていない。


俺は物陰から様子を伺う。


「シルバー……」


ログチーが小さく呟く。


「……静かにしろよ」


今は目立つわけにはいかない。

坂中の家で一体何が起きているんだ?


「クソッ」


何か知る術はないのか? 

でも頭には何も浮かんでこない。


考えろ!俺!

何か、ないのか……?




「……あっ!」





ポケットに押し込んだクロノスの封筒!


慌てて封筒をポケットから取り出す。


「……」


思わず息を呑む。


アイツは変な奴だけど、多分意味のないものを

渡すとは思えない。



「……ゴクっ」




俺はクロノスにもらった古びた封筒を

そっと開けた――


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