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銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
深まる謎

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走馬灯?昔の記憶

ランドセルを背負った小さな男の子が、

こちらを見る。


「……っ!!」


子供の腕を掴み、力任せに歩道側に引き寄せた。


バイクはそのままスピードを落とすことなく

真っ直ぐに向かってくる。


距離はわずかに10mほど。


(……ダメだ、今度こそ死ぬ……)


ドクンッ


心臓の音だけが、

やけに大きく響いた。


次の瞬間―

目の前の景色が滲んだ。






…………


家の縁側、風鈴の音。

夏の香り、蝉の泣き声


優しい声がする。


『紫音、それ、そんなに気にいったのかい?』


麦茶を飲みながら笑う、

じいちゃんとばあちゃん。


『うん!!だってスマホだよ!色々なこと出来るんだよ!』


ばあちゃんは優しく笑いながら


『ばあちゃんのお古で悪いけどねぇ』


『……ううん、すっげぇ嬉しい!』


『一生大事にするからね!ばあちゃん!』


昔の自分の声。


ばあちゃんは嬉しそうに笑って俺の頭を撫でた。


『優しい子だね、将来が楽しみだねぇ』


『ほっほっ儂に似て、イケメンだしのぅ』


『あらあら、おじいさんたら……』


『ラーメン、つけ麺、儂イケメンー』


『じいちゃん、それ古いよ!』


笑い声が頭に響く。


(……ばあちゃんごめんな……一生大事に出来なかった……)



―キキィィィィィィィィィィーッ


耳を裂くような音が、

一気に現実へ引き戻した。


そのまま自分の身体が浮いた感じがした ―






空Side ―


クラスメイト達からようやく解放された空は

少し疲れて、ふうっと息を吐く。


前の席を見ると、紫音の姿はなかった。


「……いない」


(思いっきり目を逸らしちゃった……。変に思われたよね……)


(……でも、屋上で見た姿は……)


首をふるふると振る。


(確かめもしないで、諦めるのは嫌!)


ふと思いつく。


「あっ部活なのかも?」


周りを見渡した空は


残ってるクラスメイトに声をかける。


(あれ……この人、さっき紫音くんと一緒にいた人)


「あの……」


「ん?」


「えーっと、長瀬くん?」


(名札に気がつき名前を呼ぶ」


「あ、そうだけど」


「えっと、バスケ部ってどこで活動してるのかな?」


「えっ?蒼乃さん、バスケ部興味あるの?」


大地が顔を輝かしながら、嬉しそうに尋ねる。


「あ……うん、そうなんだ。下手だけどね」


「そっかそっか!俺男子部のキャプテンやってるから、一緒に行く?」


「……えっ?」


少しびっくりしながらも、空は嬉しそうに


「い、行きたい!行きたいです!」


満面の笑みで返事をした。


大地は少しドギマギし、

心の中で「オッフ」と呟いた。






体育館前―


「見学は自由だし、ゆっくり見てくれよ」


笑顔で大地はバスケ部を紹介する。


「……あ、ありがとうございます!」


ペコッと頭を下げる。


「……同クラなんだからさ?タメ口でいいぜ?

気、遣うなよ?」


「あ、はい!じゃなくて……ありがと……」


ふわっと微笑む。


大地は心の中で邪念を払った。


(白石、俺はキミだけだから!うん!)





体育館内 ―


中は熱気で溢れてるかのように、

みんな一生懸命に練習をしている。


周りを見渡す空。


(いない……)


「……誰か探してます?」


後ろから声。


振り返るとマネージャーらしき人が立っていた。


「えっ?……いえ……別に」


戸惑いながら答えると


「ふーん?」


「良かったらそこに名簿あるから見ていいですよ。まあうちはキャプテンぐらいしか上手い人っていないですけどね」


(副キャプテンとか、かな?)


(……でもそういうの、似合わなさそう)


ふふっと笑みが溢れる。


案内された名簿を開いてみたが


どこにも紫音の名前はなかった―




体育館の天井を見つめながら


「……あんなに楽しそうにしてたのに……」


ポツリと呟く。


大地が声をかけてくる。


「どう?大体見れた?」


「えっ?あ、うん!」


「せっかくだしさ、フリースローとかやってみる?」


「……え?でも私、ほんとに下手くそで……」


「まあまあ、そう言わずに」


大地から、ホイっとボールを渡される。


「……」


ふと、朝の公園でのやり取りを思い出す。


大事なのは視線。


力の入れ方と抜き方。


狙いを定める部分。


少し触れた手。


思い出すと顔が熱くなる―


「投げないのか?」


大地の声に、ハッとする。


びっくりして、ボールを勢いよく投げる。



「……えっ?」


思わず目を見開く。


ボールは綺麗な弧を描き、静かにゴールポストに

ストンと落ちた ―

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