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銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
運命の再会?

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43/65

はじまりと、おわり?

ホームルームが終わり、担任が教室から

出ていった直後――


空の周りは、一瞬で人だかりが出来る。


「ねぇねぇ蒼乃さんってどこから来たの?」


「彼氏いるの?」


「モデルとかやってた?」


(……すげぇな)


何となく、その場にいるのが気まずくなって

席を立つ。


「……紫音、どこ行くんだ?」


山田ナオが聞く。


「……便所」


「そう言ってサボる気だろ?」


(……するどい)


ナオの視線を無視して、教室を出る。


廊下はまだ朝の空気が残っていて、

少しひんやりしていた。


(やっぱサボるか……)


俺は屋上に向かうことにした。




屋上――


屋上の給水塔で、俺はいつの間にか

眠っていた。


誰かの視線を感じて、目を覚ます。


太陽の逆光で、顔が見えない――


(……蒼乃?)


慌てて起き上がる。


「ここにいたんだ?」


「……佐伯……か?」


(……違ったか)


佐伯は、柔らかく微笑みながら言う。


「横に座っても……?」


「……あ、ああ」


佐伯が横に座る。


腕が触れる距離。


(なんか、近くね?)


佐伯は俺をまっすぐ見つめながら呟いた。


「……あのね?」


「ん?」


「ちゃんとお礼が言いたくて……」


「……別に、何も」


思わず視線を逸らす。


「……軽蔑されるかもだけどね」


佐伯は少しずつ自分のことを語り出した。


年齢を偽ってガールズバーで働いていた事。


男に卑猥な写真を撮られて脅されていた事。


なぜか、店が訴えられて、データが消えた事。


バイトを辞めた事――


無言のまま、俺は横で聞いていた。


挿絵(By みてみん)


「……助けてくれたのは――

黒川くん……でしょ?」


佐伯がまっすぐ見つめてくる。


「……俺は、何も」


「……そう?


「でもね、私……」


「黒川くんに助けてもらった気がするの」


その後、少し照れくさそうに佐伯が言う。


「想うのは自由だよね?」


「ん?まあ……自由なんじゃね?」


言葉の意図がわからないまま返事する。


「ちなみに、俺じゃないからな?」


「佐伯がさ、困ってんのを見てた奴がいたんじゃね?」


「……プッ」


「……なんだよ?」


「ううん、なんでもない」


佐伯はまっすぐ俺を見つめながら微笑んだ。


「おかしな奴……」




「……さて、と。じゃあ私、そろそろ戻るね」


「あ、ああ」


佐伯が立ち上がる。


「……?」


「ん?どうした?」


「……今、誰か来たような……?」


「……気のせいじゃね?」


佐伯が少しだけ目を細めた。


(……転校生の蒼乃さん、かな)


「……ん?何か言ったか?」


「……ううん、気のせいみたい」


佐伯は首を左右に振った。


「?」






昼休み――


教室に戻ると、


いつものように大地達が集まっていた。


「お前、またサボりかよ」


佐藤ノブが笑う。


「ガチで、社会科の谷村が怒ってたよな」


山田ナオが呆れながらうんうんと頷く。


「転校生の前でテンパったんだよな?」


大地がフォローにならないフォローを入れる。


「……うるせぇ、そんなわけねーだろ」


弁当をかきこむ。


「てか、昼前に転校生がさ、屋上の行き方聞いてきたけど、お前、何か関係あるのか?」


山田ナオが、思い出したように聞いてくる。


「……んなもん、知るわけが……」


(ん?)


「……どうしたんだよ?」


「……い、いや別に……」


(まさか、な……)


後ろの席をチラッと見る。


クラスメイトと楽しそうに話す空。


ふと目が合うが、わざとかと思うくらい

思いっきり避けられる。


「……っ!?」


「紫音、どうした?食わねーのか?」


「……いや、何も」


俺は残った弁当を見つめながら、

白飯を無理やり口に押し込んだ。

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