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   ④

 みんなとカラオケに行ってからは、沢田さんも、たまにこの部屋に来るようになった。

 といっても、話題はゲームや音楽、芸能、その他いろいろで、いつもと変わらない。新しい家電製品の話とか、インターネットの話題とか。

 思っていたように、沢田さんはおとなしめで、みんなの話を聞いているのが多いね。僕もこう見えて人見知りだから、その気持ちはよくわかる気がする。


 僕は気になったことは自分なりに調べて雑学にしていくのが好きなんだ。歴史ものとかも好きだね。三国志とか。意外とみんなからは物知りと思われてるみたい。

 でも、別に自慢しようと思ってるわけじゃなくて、単に知りたいから。

 ただ、僕の話を聞いて

「へー」

なんて言って興味を持ってくれると、僕も嬉しいかも。


 僕の仕事はひと言でいえば、分析。水の分析とか、土壌とか。検体によっては、会社に運ばれてからすぐに分析をしないと駄目なものもあるから、そこがやっかいだね。

 前までは外に出て、サンプルを取ってくる仕事がメインだったけど、上司と相談してこっちの仕事にしてもらったんだ。どっちが好きかといえば、そうだな、外へ行くと移動時間の分、実質の作業時間は少なくて済むのが良かったんだけど。

 でも、夏や冬に外に出なくていいのは有難いかも。重い荷物を持つこともあまりないし。

 僕って、結構汗っかきなんですよね。体質だからしょうがないけど。え? 痩せろって? うん。それは自覚してる。だから、入院して痩せたのは怪我の功名だね。


 あ。でも、また飲み会があるんだよね。また飲み過ぎちゃわないようにしないと。

 来月から六月で、仕事が忙しくなる前に、岩谷部長が飲み会をしたいんだってさ。うん。梅雨の時期はうちの仕事の繁忙期なんだ。

 飲み会は嫌いじゃないけど、話が合う人が近くにいないとつまんないんだよね。いつも話してる人がいないと。でも、僕から移動して話をするようなことも面倒臭いから。来るもの拒まずってかんじかな。


 今日は二次会どうしよう。見たいテレビがあるんだよなあ。録画予約しておくの忘れてたよ。

「おい、北村。お前も行くぞ」

「はい」

 うわあ。部長に誘われてしまった。部長行きつけのスナック? うーん。あまり気乗りしないけど。まあ、しょうがないか。

 坂下さんはいるけど、白川さんと一緒で別のテーブルだし。こっちのテーブルの女性二人は僕がいない間に入社した人で話したこともないし。憂鬱な時間になりそうだなあ。

 谷津とか遠藤は、僕をいつもからかうから、嫌いだ。放っといてってかんじ。二人とも二次会は下ネタとか異性の話ばかり言うから、それも僕は苦手。


 うん。僕は意外とピュアなんよ。自分で言うなって? でもね、小さい頃からも、あまり友人達と下ネタとか異性のことを言うのは好きじゃなかった。話は合せるけど、自分から言うことは、まずないかな。

 下ネタが嫌いなわけじゃないんだよ。でも、そういうのは自分の中に秘めておくもので、他人にわざわざ言う必要もないでしょ。好きになった人になら言うかもしれないけどさ。

 塚田さんは谷津と話してるし、あーあ、来なきゃよかったな。あっちのテーブルは、沢田さんを囲んで何か話し込んでる。

 こんな時のために持ってきた携帯ゲーム機でもやるか。あ、白川さんがカラオケ歌うみたい。


 白川さん、歌うまいね。一緒にカラオケに行ったら楽しいかなあ。いや、緊張しちゃうかな。男同士で行く方が気楽だ。でも、白川さんは誰が好きなんだろうな。僕と行っても楽しくないだろうな。

「いいんですね?」

 遠藤がでかい声で沢田さんに言ってる。何の話かな。沢田さんは黙ってるけど。もしかして、白川さんのこと? ま、いいか。他人のことなんて、どうにもならないし。


「北村さーん、一人でゲームなんかして」

「やることないし」

「カラオケでも歌いましょうよ」

「いえ、いいです」

 坂下さんが話しかけてきてくれたけど、今は歌う気分でもないし。早くお開きにならないかなあ。トイレに行く振りして帰ろうかなー、なんてね。



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