第41話 天空の城へ行ってみよう
犬獣人たちのいる世界なんて天国だろうな
それからしばらくして、犬獣人たちが作ってくれていた温泉付きの秘密基地が完成した。
「……いや、立派すぎない?」
俺が想像していたのは、小さな小屋みたいなものだった。だが目の前にあるのは、どう見てもちゃんとしたログハウスだ。
「おいらたちはトイプー族だから、こういうのは得意なんだ!」
「トイプー族、すげえな……」
中も広く、何人かで泊まっても余裕がありそうだ。しかも温泉はすぐ近く。
秘密基地というより、もう別荘である。あれから何度か足を運び、危険がないことも確認した。リオとミアを連れてくることについても、もちろんおばあちゃんには事情を話して許可をもらっている。
ということで後日、俺はみんなを連れてくることにした。
エリーゼ、ルナ、ノア、リオとミア、そしてクロ。
移動手段はもちろん、空飛ぶ車だ。
「雲が下にある!」
「すごーい!」
リオとミアは大はしゃぎだ。
「何度乗っても変な感じだよね、これ」
「……空を走る車」
ルナとノアも窓の外を眺めている。
「賑やかな旅ですわね」
エリーゼが楽しそうに笑った。前回見つけた上空のルートを通り、竜の巣を越える。雲を抜けると、山々に囲まれた高地が広がった。
「着いたぞ」
空飛ぶ車を降ろすと、犬獣人たちが一斉に走ってきた。
「ユウマ様だー!」
「来たー!」
そして、クロを見た。巨大な猫型の魔物を見れば、普通なら怖がると思ったのだが。
「でっかい猫!」
「ふわふわ!」
「乗りたい!」
「そっち!?」
犬獣人たちは一斉にクロへ群がった。撫でられ、抱きつかれ、背中によじ登られる。クロは嫌がるでもなく、されるがままになっている。
◇
温泉も大好評だった。
男湯と女湯は分けてある。
「最高だなぁ……」
湯に浸かっていると、壁の向こうからルナの声が聞こえた。
「こんな場所、よく見つけたね」
「偶然だけどな」
俺は答えた。
その日は一日中、みんなで遊んだ。リオとミアはすぐに犬獣人の子供たちと仲良くなった。ルナとノアもあっという間に囲まれている。クロに至っては、完全に遊具扱いだ。そして夜は、完成したログハウスにみんなで泊まった。
◇
翌朝。
「ユウマ様は今日はおいらたちと遊ぶんだ!」
「ずるい! トイプー族ばっかり!」
別の犬獣人たちがやってきて、いきなり揉め始めた。
「俺を取り合うな」
「今日はポメ族のところに来て!」
「ポメ族?」
見ると、ふわふわした毛に丸い顔、小さな体。……うん、だいたい想像通りだ。
「じゃあ今日はポメ族のところ行くか」
「やったー!」
「えー!」
トイプー族の耳が一斉に垂れた。
……なるほど。次から土産は、ちゃんと全部の部族に同じだけ持ってこよう。食べ物も、おもちゃも。
そうしないと普通に喧嘩になる。しばらくポメ族の集落で遊んだあと、俺は空に浮かぶ城を見上げた。
そうだ。遊びに来ただけじゃない。
「あの城って、みんな行ったことある?」
犬獣人たちは首を横に振る。
「ないよ」
「飛べないもん」
「上は風も強いし」
やっぱり、誰も行ったことがないらしい。
俺は隣のエリーゼを見る。
「天空の城、行ってみるか」
「探索するんですの?」
「ああ」
「危険かもしれませんわよ」
「ここまで来たんだし、気になるだろ」
エリーゼは少し考えてから、頷いた。俺はもう一度、天空の城を見上げる。
「俺たちだけで行ってみよう」
最後まで読んでいただきありがとうござます。
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