第40話 空から来た救世主
このネタわかる人いますかね?
ドラえもんの映画、大魔境のネタです。
犬って可愛いですよね。私は犬派です
俺とエリーゼは、犬獣人たちのいる集落へ向かってゆっくり高度を下げた。こちらに気づいた犬獣人たちが、次々と声を上げる。
「なんかいる!」
「人だ!」
「飛んでる!」
そして、その中のひとりが叫んだ。
「親方! 空から女の子が!」
「いやいやいや! そのセリフ言っちゃうのかよ!」
「……何のことですの?」
エリーゼには当然通じない。
地面へ降りると、犬獣人たちが一斉に俺たちを取り囲んだ。近くで見ると、やっぱり小さい。大人らしい犬獣人でも、人間の子供くらいの背丈しかない。
「救世主様だ!」
「え?」
「空から来た! 救世主様だ!」
「いや、俺はユウマだけど」
犬獣人のひとりが、目を輝かせながら説明してくれた。
「じいちゃんが言ってた! 昔、空飛ぶ人が、ぼくたちを守ってくれたって!」
「また空から人が来たら、救世主様なんだって!」
空を飛ぶ人が、昔ここにいた? 気になったが、まずは目の前の誤解を解く方が先だ。
「いやいや、救世主じゃないから。ユウマ。俺の名前はユウマ」
「じゃあ、ユウマ様!」
「なんで様が付くんだよ」
「救世主様だから!」
「話聞いてた?」
エリーゼが横で笑いをこらえている。
◇
話を聞いてみると、この辺りにはいくつもの犬獣人の集落があるらしい。俺たちを最初に見つけたのは、くるくるした毛を持つ一族だった。
「おいらたちはトイプー族だ」
「トイプー……」
まんまだ。
いや、異世界なんだから偶然だ。
たぶん。
トイプー族は畑で作物を育て、湖では魚も獲って暮らしていた。だが、『竜の巣』に囲まれているせいで、外の世界とはほとんど交流がないという。そもそも外の世界そのものを、ほとんど知らないらしい。こんな場所で、いったい何百年暮らしてきたんだろう。夕方になり、俺たちはいったん帰ることにした。
「また来てくれる?」
小さな犬獣人が俺を見上げる。
耳がしゅんと垂れた。
……その顔はずるい。
「来るよ」
「ほんと!?」
耳が立ち、尻尾がものすごい勢いで振られる。
「約束!」
「はいはい、約束」
◇
数日後。
俺は大量の食料と、子供たちが遊べそうなおもちゃを抱えて再びやってきた。
大歓迎だった。
犬獣人たちと遊びながら集落の周辺を歩いていると、岩場から湯気が立っているのに気づいた。
「ん?」
近づいて、流れている水に手を入れる。
温かい。
「……温泉じゃん」
「オンセン?」
「最高のやつ」
まさか異世界で天然温泉まで見つけるとは。
「ここに家とかあったら最高だな」
「ユウマ様のおうち?」
「いや、まあ……秘密基地みたいな?」
犬獣人たちは顔を見合わせた。
「作る!」
「え?」
「ユウマ様のおうち、作る!」
「いや、そんな簡単に――」
「みんなー! ユウマ様のおうち作るぞー!」
「おー!」
話が早い。
でも、温泉付きの秘密基地は悪くない。
俺はふと空を見上げた。
はるか上空には、あの天空の城が浮かんでいる。
まだ中には入っていない。
天空の城の探索は、次に来たときの楽しみにしておこう。
最後まで読んでいただきありがとうござます。
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