↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちてる途中で異世界なんて聞いてない ~飛行スキルで、なんとかやっています~  作者: FUKA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/42

第38話 ドラゴンに乗ってみたい

暖かい目で見ていただくエピソードです


魔法の練習を始めて、しばらく経った。……相変わらず、俺は魔法が下手だった。

「…………」

目の前に浮かぶ、小さな光。

「できた!」

「はい。今回はかなり安定していますわ」

「おお!」

超絶ヘタなのは変わらない。

それでも、ほんの少しずつ上達していた。

そんなある日。

俺はふと思った。

「……そういえば」

異世界に来てから、まだ、ちゃんと楽しめていないことがある。俺は『イセ100』を開いた。

ページをめくり、ある項目で手が止まった。

『ドラゴンに乗る』

「…………」

ガルーダとの戦いでは背中に助けてもらったけど、今度は落ち着いて乗ってみたい。

考えただけで、胸が高鳴った。

ドラゴン。

異世界の象徴みたいな存在だ。

しかも、この国にはドラゴンに乗って空を飛ぶ人がいる。

レオンだ。

「よし」

俺は立ち上がった。

「レオンに頼んでみよう」

◇

王都の訓練場。

俺はレオンを見つけた。

「レオン」

「ユウマ。どうしたんだ?」

いつもの爽やかな笑顔。

「ちょっとお願いがあるんだけど」

「俺にできることなら、何でも言ってくれ」

「ドラゴンに乗せてもらえないかな?」

「…………」

レオンが一瞬、目を丸くした。

「ドラゴンに?」

「うん」

「乗ってみたいのか?」

「ずっと乗ってみたかった」

レオンは少し考えたあと、笑った。

「もちろんいいよ」

「本当に?」

「ああ。ただ――」

レオンは少しだけ真面目な顔になる。

「ドラゴンは大きいし、飛行中はかなり揺れる」

「大丈夫」

「本当に?」

「俺、空飛べるから」

「……そうだったな」

レオンが笑う。

「それなら、少し安心だ」

◇

訓練場の奥。

1頭の飛竜がいた。

レオンの相棒だ。

大きな翼。

鋭い爪。

力強い体。

近くにいるだけで、その存在感に圧倒される。

「……でかい」

思わず声が出た。

飛竜だろうが何だろうが、俺からすれば十分ドラゴンだ。

「こいつが俺の相棒、アルトだ」

レオンがアルトの首元を撫でる。アルトはレオンを見ると、静かに目を細めた。

「よろしくな」

俺も近づいてみる。

アルトが俺を見る。

「…………」

俺も見る。

「…………」

なんとなく緊張する。

すると、アルトが俺の匂いを嗅いだ。

「うわっ」

思わず後ろに下がる。

レオンが笑った。

「大丈夫。敵意はないよ」

「そう?」

俺は恐る恐る近づく。

そして、そっとアルトの体に触れた。

「……すごい」

硬い鱗。

けれど、その奥には確かな体温があった。

「これに乗るのか……」

「ああ」

レオンが手を差し出す。

「乗ってみよう」

「うん!」

レオンに手を借りながら、背中に乗る。

想像していたより高い。

「…………」

俺はアルトの背中から地面を見る。

「高いな」

「まだ地上だよ」

「分かってる」

レオンが前に座る。

「しっかり掴まって」

「ああ」

アルトが翼を広げた。

――バサッ!

強烈な風が巻き起こる。

「うおっ!」

そして、地面を蹴った。

一気に空へ。

「うわあああああっ!」

俺は思わず声を上げた。

地面がどんどん遠ざかる。

城が小さくなる。

街が小さくなる。

「すげぇ……」

風が全身を通り抜ける。

俺が自分で飛ぶのとは違う。

自分の意思で飛んでいるわけじゃない。

飛竜の翼で空を飛んでいる。

「どうだ、ユウマ!」

「最高!」

思わず笑ってしまう。

レオンも笑った。

「それならよかった!」

アルトはさらに高度を上げていく。

雲が近づいてくる。

そして、雲を抜けた。

「…………!」

目の前に広がったのは、一面の青空。雲海。そして太陽。

「……綺麗だ」

それ以上、言葉が続かなかった。

レオンが振り返る。

「気に入ったか?」

「ああ」

俺は頷いた。

「すごくいい」

しばらく、何も言わずに空を飛んだ。

◇

やがて、アルトが速度を上げた。

「うわっ!」

体が後ろに持っていかれる。

「ユウマ、大丈夫か?」

「大丈夫!」

俺は必死にしがみつく。

「これ、レオンはいつもやってるの?」

「ああ」

「すごいな……」

風圧が強くなる。

アルトはさらに加速する。

自分で飛んでいるなら、次にどう動くかは分かる。

でも今は違う。

飛竜が次にどう動くのか、俺には分からない。

「これでもまだ全力じゃない」

「え?」

「この子は、もっと速く飛べる」

「マジか……」

俺はアルトを見る。

こんな巨大な体で、こんな速度で飛べるのか。

そして思い出す。

レオンは、この国でも屈指の竜騎士だ。王国の空では最速クラスと言われている。その理由が、少し分かった気がした。

◇

しばらくして、アルトは訓練場へ戻ってきた。

地面に降りる。

俺はアルトから降りた。

「…………」

しばらく、その場に立ち尽くす。

「どうだった?」

レオンが聞く。

俺は笑った。

「最高だった」

「そうか」

「ありがとう、レオン」

「こちらこそ」

レオンは爽やかに笑う。

「俺も楽しかったよ」

俺はアルトの首元をそっと撫でる。

「お前もありがとうな」

アルトは小さく喉を鳴らした。

俺は空を見上げた。

自分で飛ぶ空とは、少し違った。

ドラゴンの背中から見る空。

それは、俺にとって新しい景色だった。

『ドラゴンに乗る』

――クリア。

「……次は何をしようかな」

空を見上げる。

まだまだ、やりたいことは残っている。

戦争が始まる前に、できるだけこの世界を楽しもう。



最後まで読んでいただきありがとうござます。


評価とブックマークで応援いただけると、執筆(は終わってるから投稿かな)の励みになります!


よかったらインスタも見ながら楽しんでください

https://www.instagram.com/yuma.ochitara?stkn=dzl3cXJtMmg0bmkx

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。