第2話 命の危機でしか成長しない飛行スキル
第1話を読んでいただき、ありがとうございます。
地面から50cmしか浮けなかった《飛行》スキル。
森でのサバイバル生活を続けながら、ユウマは少しずつ飛べるようになっていきます。
ようやく空を自由に飛べる――と思ったら……。
第2話です!
水を確保してから3日後。
《飛行(Lv5)》
最高高度:2.5m
最高高度が2.5メートルまで伸びた。
3メートルの高さにある木の実にも、地面を蹴って《飛行》を使えば手が届く。
葉に溜まった雨水や朝露を集めることにも慣れ、水を確保する時間が短くなった。その分、食料を探せる範囲も広がっている。
さらに5日後。
《飛行(Lv6)》
最高高度:3m
ようやく《飛行》だけで木の実を取れるようになった。
「やっと普通に取れる!」
地上から届かないせいか、高い位置の実はよく熟れていて甘かった。
狼のような魔物に遭遇しても、3メートルまで上がれば追いつかれない。
そう思っていた。
「残念だったな、地上生物!」
狼を見下ろした瞬間、そいつは予想以上の高さまで跳び上がった。
牙が足元をかすめる。
「近いんだよ!!」
慌てて横へ逃げようとしたところで魔力が切れ、そのまま狼の背中へ落ちた。
「うわあああああああ!!」
狼は大きく飛び退き、そのまま森の奥へ逃げていった。
3メートル程度で森を支配した気になるのは、まだ早かったらしい。
それからは、ただ高く上がるだけではなく、魔力を無駄にしない飛び方を覚えていった。
必要以上に上下せず、横移動を使う。息を整え、できるだけ長く飛び続ける。
そうして2週間、毎日の練習と失敗を積み重ねた。
《飛行(Lv10)》
滞空時間:3分
最高高度:8m
「おおっ、急にちゃんと飛べるようになった!」
最高高度は、3メートルから8メートルへ伸びた。
ここまで上がれば、さすがに狼の牙は届かない。森の中を吹き抜ける風を受けながら、木々の間を自由に移動できる。
「これが……飛行か!」
ようやく、名前どおり空を飛べるようになった。
そう思った直後、横から飛んできたカラスのような魔物に体当たりされた。
「空にも敵がいるのかよ!!」
地上から逃げられるようになったと思ったら、今度は空にも敵がいた。
◇
さらに2週間が過ぎた。
《飛行(Lv12)》
滞空時間:6分
最高高度:15m
森の木々よりも高く飛び、上空から広い範囲を見渡せるようになった。
食料や水場を探すのも、魔物の位置を確かめるのも、上空からの方が早い。地上の魔物に出会っても、そのまま上へ逃げられる。
「あれ? これ、地味に強くないか?」
攻撃する力はない。
それでも、食料を探すときも、逃げるときも、《飛行》は十分に役立っている。
この世界へ来たときは、50センチしか浮けなかった。狼の牙から逃げることさえできなかった。
それが今では、自分の力で森を見下ろしている。
俺は抱えていた木の実を持ち直し、眼下に広がる森を眺めた。
「悪くないじゃん、俺」
落ちる途中で始まった異世界生活にしては、上出来かもしれない。
――現在の飛行スキル――
《飛行(Lv12)》
最高高度:15m
滞空時間:6分
最後まで読んでいただきありがとうござます。
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