ep12.台風の日くらい休みたいよね
サラリーマンの何がつらいかと言えば、毎朝の通勤電車です。
私は約20年、東京で働いていました。
言うまでもありませんが、とにかく電車の中がカオスです。
ありとあらゆる通勤客との密着空間。
女性が近くにいれば、痴漢冤罪を受けないように両手をホールドアップ。
吊り革の奪取争いがあり、たいてい負けます。
ふくらはぎを必死で突っ張り、揺れで女性側に倒れないよう全力を尽くす。
朝からそんなことに神経を使い果たしていました。
そこまでして行く先には――つらいつらい会社です。
最近はだいぶ変わったと聞きますが、当時はその会社で終電近くまで働き、帰りの電車もまた満員でした。
朝も地獄、夜も地獄です。
さて、今年も台風の季節がやってきました。
台風が来るたびに思っていたものです。
「今日はもう出社しなくていい」
「早く帰れ」
そう言ってくれないものか、と。
でも、そんな指示が出ることはありません。
社会人たるもの、とにかく出社するのが当たり前。
日本人は頭がおかしいんじゃないかと思いながらも、反社会的行動を取る勇気もなく、私は毎回ちゃんと会社に向かっていました。
東日本大震災のときもそうでした。
原発がどうなるか分からない。
余震も続く。
そんなニュースが飛び交う中でも、会社から「自宅待機」の指示はありませんでした。
そして、その電車もまた満員でした。
私はこの東京の会社を辞めてしまったのですが、思い返せば、満員電車もその理由のひとつだった気がします。
その後、私はまた正社員の道を歩くことになります。
ただ、今度は地方都市でした。
新しい生活を始めた私は、会社の近くにアパートを借り、原付バイクを買いました。
通勤苦から解放されたのです。
これは本当に大きかった。
ただ、その代わりに別の問題も待っていました。
電車の時間に縛られない日々です。
それは、「無限に働ける」という意味でもあります。
結局、人がいるところには問題があります。
東京にも地方にも、それぞれの大変さがある。
悩みは尽きません。
でも少なくとも今の私は、知らない誰かと密着しながら出社しなくていい。
それだけで、人生の幸福度はだいぶ違う気がします。
地方都市、けっこう悪くないですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このエッセイは、その日に考えたことだけでなく、昔の出来事や、ふと思い出したこと、将来の妄想などを気ままに書いています。
なので、ときどき20年前に戻ったり、未来へ飛んだりします。
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また次のエッセイでお会いしましょう。




