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広告嫁  作者: 純銀
コモンデータセンター
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22/29

経済学者

連続ドキュメント特集『2020年代のデータセンター暴走がどう防がれたか』(全6回)


第2回 半導体の奪い合い──データセンター乱立が引き起こした供給危機


2020年代後半。産業社会は、半導体という文明の部品を失いかけていた。

自動車工場はラインを止め、家電メーカーは出荷を延期し、GPUは価格が数倍に跳ね上がり、そして一般ユーザーの手から半導体が消えた。

だが半導体自体は消えたわけではなかった。乱立するデータセンターによる確保だけが暴走。

そうして世界は「半導体飢饉」と呼ばれる数年間を迎えることになった。

今回は、その危機の全貌を振り返る。


司会「テレビの前の皆様、こんばんは。連続ドキュメント特集『2020年代のデータセンター暴走がどう防がれたか』、本日は第2回をお送りします。引き続き司会は私、結衣カーネリスです。」


司会「今日は、データセンター乱立が引き起こした“半導体の奪い合い”について、専門家の皆様とともに見ていきたいと思います。」


●経済学者・三条准教授

●情報学者・黒瀬准教授

●国際政治学者・天城教授

「よろしくお願いします。」


司会「2回目はさて。半導体の供給不足が社会を崩壊させかけたあの頃が記憶に残る方も多いと思うのですが。なぜ誰も止められなかったのでしょう?」


三条准教授「半導体危機は、一般ユーザーの市場から表れ始まりました。当時の半導体市場は、安価なメモリやグラフィックボードが大量に流通し、自作PC文化やゲーム産業を支える“豊かな市場”だったんです。」


司会「しかし、2024年頃から、謎の値上がりが始まりましたね。」

三条准教授「はいその頃でした。最初は高性能GPUが品薄になり、次に中価格帯の製品が消え、最後には、安価なメモリやストレージまで値上がりしました。」


司会「原因は何だったのでしょうか。」

三条准教授「AI企業の一部が、生産工場の段階から半導体を“独占”し始めたことが明らかになったのです。彼らは、完成品ではなく、製造ラインそのものを押さえました。つまり、半導体が市場に出る前に、AI企業がすべて買い占めていた。」


司会「買占めがまかり通ったみたいな感じで、ちょっと考えられませんよね。」

三条准教授「その通りですね。その結果、市場価格は跳ね上がり、高性能な製品から順に品切れしていきました。」


司会「AI企業側は、何を目的にしていたのでしょうか。」

三条准教授「明らかに、サーバー建設でした。AI企業は、データセンターを“投資対象”として扱い始めました。サーバーを増やせば増やすほどAIモデルの性能が上がる。そのため、半導体を大量に確保することが、企業価値の向上に直結したんです。」


司会「限度がありそうなものですけどね?」

三条准教授「資本社会が欠点をさらけ出したんです。利益を追う企業が、社会の基盤である半導体を投資の食い物にしてしまったのです。」


司会「生産企業のほうは改善できなかったのでしょうか。」

三条准教授「ええ、そこなのですけど。さらに問題だったのは、工場建設のタイムラグです。半導体工場は建設から稼働まで2年かかる。需要が一気に爆発してからでは供給が追いつくはずがありません。」


司会「その結果が、我々が知ってるあの数年間になったわけですね。」

三条准教授「そうして、半導体不足は電子部品産業全体に波及し、当時の人々はこの数年間を“半導体飢饉”と呼びました。」



自動車メーカーは、生産ラインを停止した。

家電メーカーは、出荷を延期した。

PCはあってもそこにメモリは積まれず、GPUは数倍の価格で取引された。

半導体は電子産業の歯車である。その歯車が無くなった時、社会は静かに、しかし確実に止まり始めた。



半導体危機は、世界の国家間にも争奪戦を引き起こした。

アメリカは輸出規制を強化し、中国は国内生産を急ぐが間に合わず、EUは補助金競争を始め、台湾は供給先を選別した。



司会「国際協調すらも崩れてしまったあの時期ですね。」

黒瀬准教授「はい。まさしく企業の利益を優先するために、規制が大きく遅れてしまったと言わざるを得ません。」


司会「産業のそんな末期症状を救うために、やっと国際社会が動き出しました。」



ISSC(国際半導体安定委員会)の設立


サーバー建設の許可制度、半導体の優先配分ルール、AI企業の建設競争の抑制。

半導体を“公共資源”として扱う新しい枠組みが作られた。

それはAI産業の暴走に初めてブレーキがかかった瞬間だった。



三条准教授「AI産業は新しい形の利益を生みましたが、その一方で社会の基盤を食い尽くす危険性を持っていました。技術の成長と社会の持続性をどう両立させるか。2020年代は、その問いが突きつけられた時代だったと言えるでしょう。」


司会「では次回は、フェイク情報の津波。AIが生み出した“虚構の洪水”が、社会を揺るがした数年間について見ていきます。またお会いしましょう。」



* * * * *



俺も忘れはしない、あの頃売られているパソコンはどんどん原始的になっていったっけ。



自分の家に、メモリとAI回路が積まれて出荷されてくれた嫁がいるというのはとてもいいものだ。

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