3章第9話:『事件の始まり』
ショッピングモール内へ入ると明るい光に包まれた内装に親子連れやお年寄りなど幅広い層の人が並んでいた。
たくさんの店や明るい光で自然と気持ちが上がる。
「すごーい!たくさんお店ある!ねーねー色々見てまわろ?いい?いいでしょ!いいよねっ!」
目の前に広がる多くの立ち並ぶ店の数々に一ノ瀬がまるで遊園地に来た子供のように興奮する。
「別に時間あるし、いいけど。そんなはしゃぐか……?」
Aがテンションの高い一ノ瀬に若干困惑しつつ手元の時計をちらっと確認して答える。
「やった!じゃあ…………あれ!あのペットショップ行こっ!」
そういって一ノ瀬は入り口から左手側にあるペットショップを指差した。
「あれか、やっぱそういうの好きなのか」
「そりゃね、女の子ですからっ!可愛い生き物大好きだよ、A君は私をなんだと思ってるの」
「天然怪力女」
「天然でも怪力でもないけど!?……はぁ、A君そういうとこだよね、モテないよ?」
「ロリ以外に興味ないからモテなくても問題ないな。あ、着いたぞ」
「そういう問題じゃない!もうっ………え!かわいい〜」
一ノ瀬がぷいっとそっぽを向いて不機嫌になるが到着したペットショップのショーケースの中の猫に目を奪われた。
「えぇー!?猫ちゃん可愛い〜、癒される〜」
猫の可愛さに先程までの不機嫌が吹き飛ばされて一気に上機嫌になる。
「ほんとに単純だな……」
「え?なんかいった?」
「いやべつに…」
Aは一ノ瀬の単純さに呆れつつ、一ノ瀬と同じくショーケースを見た。
「猫に犬、あとはハムスターもいるのか」
店内に陳列されたショーケースの中には猫、犬、ハムスターが入っていた。
一ノ瀬はそれらの動物を眺めながら回っていた。
『僕の仲間みたいなのがたくさんいるね』
「そうだね、でもフィオより可愛いよ」
『ふふ、そんな冗談に僕が引っかかると思った?ほんとは僕の方が可愛いと思ってるでしょ、このツンデレ〜』
「え、本音だよ?」
『もう百華のことなんて知らなーい、ぷいっ』
拗ねたフィオーレが一ノ瀬の頭の側頭部に花の姿になってくっつく。
「冗談だよ、フィオ〜。拗ねないでよー」
『もう百華に何かあってもちょっとしか助けてあげないから』
甘さが滲み出ている捨て台詞を吐いてフィオーレは全く応答しない状態になった。
「もう、フィオったらすぐ拗ねちゃうんだから」
「今のはお前のほうが悪いだろ、たぶん。てか一ノ瀬ってそんなに猫とか好きだったんだな」
「そうだね!昔は人の友達がA君ぐらいしかいなかったからね、猫ちゃん達とかと遊んでたから」
サラッと返答に困る重い過去をカミングアウトされてAは案の定返答に困った。
「…そうなのか……なんかすまん…」
「別に気にしてないから大丈夫だよ、学校で友達もたくさんできそうだし!」
そういって一ノ瀬は笑顔で答えた。
「ほんとに変わったな、一ノ瀬」
Aが昔の陰気で臆病な一ノ瀬を遠くに浮かべる。
「またそれー?何年会ってないと思ってるの、人は変わる生き物だよ?A君」
「それもそうか、人は変わるもんな」
「そうだよ、それにそんな過去のことばっかり言ってたらかいこちゅうってやつになっちゃうよ。意味よく知らないけど」
「知らん言葉を使うな」
「いたっ」
Aが一ノ瀬の額にデコピンして嗜める。
「じゃーまー、可愛い動物ちゃんたちとも触れ合えたし本命の買い物いこっか」
「そうだな」
Aたちがペットショップを出てエスカレーターを使って上の階へ上る。
「雑貨屋さんってどこにあるの?」
「もう一回上に上がって右側にあるぞ」
一度エスカレーターを降りて上の階へのエスカレーターへと乗り継いで上の階に上っていく。
その時だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
甲高い女性の悲鳴がショッピングモールの中を支配した。




