3章第8話:『そうだ、ショッピングモールに行こう! 』
2人はAの家から出てショッピングモールへ足を進める。外の空気は少し冷えており、玄関から出た一ノ瀬が体を少し震わせていた。
「じゃあ行くか」
「うん、いこいこ〜!」
一ノ瀬が前を歩いて上機嫌に鼻歌を歌う。ところどころ音程が怪しい。
服は学校から変わらず制服のままで、フリルの装飾のついたスカートが涼しげな風に吹かれて靡く。
「ここからどれくらいなの?」
くるっと後ろに振り向いて一ノ瀬が尋ねる。その動きで髪が揺れ、周りの通行人の目を奪う。
「すぐすぐ、あのちょっと見えるピンクの建物」
Aが前方の建物の奥の屋根だけ見えているピンク色の建物に指を指す。ピンク色ということもあり遠くからでもよく目立っている。
「あー!あれね、じゃあすぐ着きそうだね」
一ノ瀬がAが指差したところを目を凝らしてみて場所を確認する。
すると突然一ノ瀬の頭の花がもぞもぞ動き始めた。
『う〜ん、あれ、2人とも何してるの?』
花が一ノ瀬から離れて空中で犬のような二足歩行(宙に浮いているが)の姿に変わる。花の神のフィオーレだ。
「お、フィオーレ。何してたんだ?めっちゃ寝起きそうに見えるけど」
神様に睡眠が必要か知らないが目の前の花の神は大きな欠伸をしている。目も虚ろで何回も瞼を瞬かせている。
『そりゃさっきまで寝てたからね。やっぱり昼間からの睡眠は格別だね』
「神様がニートみたいな生活するなよ」
神のくせに結構人間臭い、しかも駄目な方の人間らしい。
『ひどいなぁ、ニートみたいだなんて。これでも僕は神様なんだよー?』
「神様だからいってるんだよ」
どうやら発言まで寝ぼけているらしい。本当に神様なのか怪しいところだ。
「ん?どうした、一ノ瀬。そんな驚いた顔して」
一ノ瀬がAとフィオーレとの様子を驚いたような顔をして見ていた。
「いや、よくそんな神様とフランクに話せるなーって。フィオーレが神様って知るとみんな怖がっちゃうから」
『たしかに。みんなそんな怖がらなくていいのにねー、Aぐらいフランクな方がこっちも楽でいいよ』
「そうなのか?」
おそらくAが神様のフィオーレと普通に話せるのはルリ、ロリの神と同棲し長い時間を共にしたからだろう。
「あ、ついたぞ」
一ノ瀬たちと話をしていると気づけばショッピングモールについていた。目の前にピンク色の建物に大きな駐車場が立ち並んでいる。駐車場には車が多く止まっていて繁盛しているのがよくわかる。
「すっごいおっきい!」
一ノ瀬が目を輝かせながら目の前のショッピングモールに目を奪われていた。
「とりあえず服屋行ってから今日の夕飯買いに行こう」
「それ以外も何か回ろうよ!楽しそう!」
一ノ瀬が無邪気な子供のようにはしゃぐ。Aがちらりと時計をみて時間を確認する。
「まあ、時間あるし適当に見て回るか」
「やった!じゃあ行こっ!」
やたらとテンションの高い一ノ瀬がAに手を伸ばして連れて行こうとする。Aはそれをべしっと叩き落として拒否する。
「お前に連れて行かれると腕が引きちぎれる」
「ひどい………」
差し出した手が拒否されて一ノ瀬がひどく落ち込んだ。それを尻目に見ながらAは前を歩いた。




