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だい、にわ『好意的な眼差し』

 頬が紅潮するのは寒さの影響だったり羞恥心の副産物による作用だったりする。しかし、今のおれの場合は少し違う。簡潔に言えばビンタをされた。恐らく今のおれの頬にはくっきりとした手形が付いていることだろう。

「弁明をさせてください」

 階段の踊り場で正座をしながら許しを乞うというのは大分屈辱的である。でもそうしないとボコボコにやられるじゃん?男の子だもん。

「なに?」怖すぎです赤木さん......。

「えっと......おれはお前と親しくて、超能力バトル出来そうだったけど、何かそういう勘違いさせちゃったから、」

「はぁ!?意味分からんし!どういう勘違いだし!」

「告白みたいな......」

「言うなし!なんで言うんだし!」

「ええぇ......」

 神様、ちょっと理不尽じゃない?え?仕方ない?あ、そう。俺が悪いのね、神様は赤木に味方するんだね!赤木が可愛いからってあんま調子に乗んなよ!後で痛い目見ても知らねえぞこっち見んなバーカバーカ!

「謝罪」

「え?何ですか?」

「謝罪!とかしないのか、って聞いてるの」

「......ごめん」

 やっぱ理不尽だろ神様出てこいお前マジでふざけんなよ!でもこっち見んなバーカバーカ!

「あぁもう!本当にすんな!あんたは大して悪くないでしょ!」

「えぇ!?じゃあ何でそんな怒ってんだよ怖いよ!」

 神様てめえは理不尽の意味を辞書引いて調べて来い、いや調べてこっちには来るな。お前の声なんざ聞きたくもねえ!最初から聞こえてねえけどな!完全なる俺の妄想だし!

「だって告白みたいな空気だったし......」

「悪かったって」

「だからあんたは悪くないの!」

「お前おれのこと好きなの?」

 その発言から数秒後、赤木の顔は真っ赤になった。赤木だけになんつってプフフ。そして真っ赤になった数秒後、手刀が頭上に振り下ろされ、その衝撃で微量ながら鼻水が出た。

「なにいきなり訳わかんないこと言ってるぉ!」

 後半噛みながら赤木が大声を上げながら連続チョップをかましてくる。

「痛いよ!今度はおれが悪かった!さっきの発言無し無し!」

 そう言うと赤木は息を荒らげながら引き下がり、こちらを睨めつけてくる。顔は真っ赤だけどね。

「赤木悪かったよ、本当ごめんって。冗談だって」

「夏美!」

「あぁ、お前は夏美だよおれもそう呼ぶよだからもう許して。もう脳天かち割れそうなんだ」

「......」

 キーンコーンカーンコーン、と丁度良いところにチャイムが鳴った。

「そろそろ帰ろうぜ、チャイム鳴っちまったし」

「......」

「送っていくからさ」

「......」

「良ければ手も繋ぐし」

「......!」

「なぁ、夏美......」

「......ふふっ」

 突然笑い出す赤木。その様子を見た俺は、なにこの人怖い、と思った。いや冗談だが。可愛いな、本心からそう思った。

「あぁ?何だよ」

「何でも無いよ、ほら、手繋いでくれるんでしょ?」

 赤木は意地悪な笑顔でおれの手を引いて走り出す。

「あぁ危ない!ちょっとま、待って!せめて階段降りてからにして!怖い!」

「あはははー」



「足を踏み外した時は死を覚悟しましたが」

「あはは、ごめんごめん」

 少しは悪びれろよ!まぁ機嫌直ったみたいだから良しとするが。

「あ、あたしの家こっち」

「お、そうか」

 進路を切り替えようとすると、

「ううん、ここまでで良いよ」

「危なくないか?」

「大丈夫、人通り多いし」

「そか、んじゃまた明日学校でな」

「あの!」

 再び歩き出そうとすると、赤木が肩を掴んで止めてきた、掴む力が微妙に痛いよ赤木さん。

「あぁ?」

「今日、ありがと」

「ああ、気にすんな」

「お礼に今度超能力バトル付き合ってあげる」

「マジか!?っしゃあ!」

「詳しいことはまた明日話そ」

「おう、んじゃ今度こそ、また明日な」

 やばい......やばい。超嬉しい......。

 バイバーイ、とこっちを向き手を振りながら走っていく赤木に俺も恥ずかしくない程度に振り返し、見えなくなったところで歩き出す。振った手を意味もなく握り締める。明日、早起きしなきゃな。

 それはそうと確信した、あいつおれのこと好きだな。

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