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愛を乞う少女は、漆黒の泥で世界を壊す  作者: ちぇるしー


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12/24

12.魔力の正体2

魔法に関しては、テオが適任だった。

俺もアッシュも、魔法には少し疎い。


「俺では分からないことばかりだ。テオ、頼む」


「りょーかい。

まずさ……魔力って、属性ごとに色があるんだよ。

火は赤、水は青、闇は紫……って感じ」


テオは指を折りながら続ける。


「まあ、厳密には人によって見え方に差はあるし、闇を黒っぽいって言うやつもいる。

でも、本来の闇属性は紫なんだよ」


そこで一度、テオは息をついた。

「でも……あの子が暴走してた時の魔力、あれは真っ黒だった。

……これが、どういう意味か分かる?」



難しい問いに、三人とも首を傾げるしかなかった。

そんな俺たちを見回して、テオは説明を続けていく。


「普通の魔力なら、どれかの属性の色に寄るんだよ。二つ三つが混ざることはあっても、黒になることなんてまずない。

つまり、あれは……全属性がぐちゃぐちゃに混ざってるもの。簡単に言えばね」


「少なくとも、今まで見たことないよ。……あんなの」


テオの声は静かだった。

だからこそ、その言葉の不気味さが余計に際立った。



「だからさ、騒ぎになる前に先に隠蔽をかけたし、そのあと防護魔法も重ねた。……それでこれだよ?」


「俺は、扉壊して入ったぞ」


ぼそっと言ったアッシュに、テオが即座に振り返る。


「入ってから重ねてんの!」


そのやり取りに、重かった空気がほんの少しだけ緩んだ。



──正直、俺は闇属性か何かだと思っていた。

漆黒が侵食するように広がって、

すべてを飲み込もうとしていた。


闇魔法だと思うには十分すぎる光景だった。

けれど、あの圧に押された時、かすかに聞こえた声も、見えた表情も、何かを壊そうとしているようには見えなかった。

ただ……近づかないでと。


そう訴えるように、すべてを拒絶しているだけに見えた。

だからこそ、テオの説明にも頷けた。


「ま、だからそんなとこ!

コントロールできない限りは、爆弾そのものかな?」


ようやくテオらしい調子が戻ったが、親父さんは先ほどまでの余裕もなく、頭を抱えた。


「また厄介なことになったな……

まぁお嬢ちゃんは悪くないんだが……」


親父さんが頭を抱える横で、テオはなぜか少しだけ口元を緩めていた。


「……ま、でもさ。ノルンがいるじゃん」


不意に向けられた言葉に、俺は眉をひそめる。


「正直、あれには普通の魔法も剣も通らないと思った。

でも、ノルンの剣技は通じた。あれを断ち切れたんだよ」


テオは俺を見て、いつもの調子で言う。


「それって、普通にすごくない?」


「木の棒拾った時は、さすがに俺も死ぬかと思ったが、

ノルンなら何とかするっとは思ってた」


「俺は安全圏で見てたけどね~」


俺はあの時の感覚を思い出す。

……できるかどうかも分からなかった。

それでも、あれを断ち切るしかなかった



あの力が何なのか、俺自身よく分かっていない。

ただ、一つだけ確かなのは──

本来なら剣で断ち切れないはずの魔力に、

昔から俺の剣は届くことがあった。

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