第四十三話『試練、試験、偏見』
「じゃあ行ってくる」
「ちゃ、ちゃんと帰ってきてね!」
一晩明け、試練に向かうミル。と言っても事前に聞いた話だと、そんなに毎日火山が噴火している訳では無いと聞いていた。……聞いていたのだが。
「滅茶苦茶火山弾振ってきてる……」
もうこれ陰謀かなんかじゃないの?ってくらいに火山が噴火しまくっていた。幸い魔法で防御が出来ない程ではないが、確かにこれを登るのは骨が折れるなぁとか思っているミル。一方その頃、宿屋ではガレとナラが会話していた。
「あの……。僕に何か用ですか?」
「いやよ、お前リス娘だろ?結構希少種なお前がなんでこんなところに?って言う」
「……え、希少種なんですか僕?」
ガレは昔、希少種と言う事で色々と襲われた事があり、それ以外人目を避ける為にこんなところに住んでいると言う訳だ。しかしナラには全く希少種という自覚が無い。確かに自分以外のリス娘は見た事が無いが、そもそも住んでいない場所に行ってるから当然では?とか思っていた。
「あぁ。そっちのギン狼の姉ちゃんも希少種だが……そいつはモノ付きだからな。交尾出来るからなぁ」
「えっどういう事?」
「……まぁ教えてやるよ。お前ら交尾は?」
「一回?ミルも含めッとお前は数十回くらいヤってんだろ」
「まだ一回しかしてないんですけど?!」
うがーっ!と言う感じで威嚇するナラ。全然怖くは無いが。そんなんなので、どっちもほとんど無視しながらどういうことなのか聞く。
「んまぁ大体そう言う感じだが。なんかあんのか?」
「お前ら遺伝子系のあれこれは知らんだろうから簡潔に言うが……。モノ付きの方の遺伝子が優先される」
「……って事は、つまり僕とギンが仮に子供が出来たら、ギンっぽい子供が生まれるって事?」
「そう言う事だ。中々ややこしいだろ?」
つまるところ、種族的単位で人がいない。それが問題点だと言う事らしい。そこまで話を聞いて、そう言えばミルはどうなんだろう?と思ったナラ。思ってみれば、師匠に付けてもらったと言っていた。
「……。帰ってきたら聞こうかな」
やはりどうやっても、ミルに話を聞くことになるらしい。その辺は仕方ないので、帰ってくるの待つことに。
「今はどのあたりにいるんだろう……」
かなり心配している様子のナラ。その頃ミルはと言うと、山の中腹辺りで休憩を取っていた。
「ふぅ……。そろそろ進むか」
水分補給を終え、更に登ろうと腰を上げた瞬間、一際大きな噴火が起きる。大量に降り注ぐ火山灰とマグマに、思わず近くの洞窟に逃げ込むしか出来ないミル。だがその中で、ミルは石に突き刺さっている杖を発見した。




