第四十四話『先兵のA』
「なんだこの場所……。火山の中なのに涼しい……?」
噴火から逃げて来たミルだが、入った場所の温度は真逆レベルの寒さ。一体どういうことなのかは分からないのだが、少なくともこの杖が関わっているだろうと言う事だけは理解できた。早速近寄ってみると、誰かが話しかけてくる。
「ふぅん?お前レズった事あるな?」
「あるよ。何ならまぐわったよ」
「マジでぇ~?聞かせて~?」
初手これである。そりゃまぁあの二個からボロクソに言われるだろう。しかしミルは割とそこそこコミュ障系少女なので、距離感測れないタイプの奴とは波長が合う。
「で?この杖を取ればいいの?」
「あぁいやいや、こっちの手袋付けろまず」
「はいはい」
ぶかぶかの手袋だったが、手にした瞬間キュッと締まり、手に馴染む大きさに変わる。そして杖を抜こうとするが、ミルは手袋から声が聞こえている事に気が付く。
「……え、もしかして……」
「そう、この俺こそが……死:Aだ」
「えぇ……」
Aを手に入れたミル。だが聞いていた話と違いすぎる。杖ですらないのかと、若干立ちくらみがする程。
「で、Aでいいの?」
「まぁな。Aでいいぞ。さてと……。俺は魔法を数字、属性をマークで使った『BJ』だ」
「BJ……。って何?」
「んまぁ21にならなきゃ大体OKだよ!……まぁ21超えたら……色々ペナルティね!」
「うげぇ」
とりあえず、ここから出る為に早速魔法を使ってみることに。ただ重要なのが、カードは大概裏返しで表示されると言う点。
「……わかんないじゃん」
「リスクを逆から読むとクスリ……。リスクを取らなければ何かは得られません」「ナニッ」
そんな訳で、とりあえず一回表にしてみるミル。スペードのAとクラブの10。ブラックジャック成立。
「おっ運が良いねぇ」
その瞬間、強烈な氷属性魔法が放たれる。火山すらも一瞬で雪山に変える程の、圧倒的魔法。
「……えぇ……」
「まっ、そう言う事だからBJによろしくって訳よ」
こんな感じで武器を手にしたミル。次に向かうべき場所……と言うか、一度あの塔に戻る必要がある。師匠に呼ばれたからだ。正直戻りたくないなぁとか思いながらも、一度山のふもとに戻るミル。
「寒い!なんかいきなり山凍ってんだけどナニコレ?」
「そうか?寒がりなんだなお前」
「よっ」
戻ってきたところで、さっさとテレポートを使い、あの塔へ向かう一行。それをガレはどこか寂しそうに眺めるばかりなのであった。そして塔に戻って来た一行だが、何やら火が燻っているのを発見したのであった。




