第三十四話『船上にて~本音で話し合って』
「ん……。なんだここ……」
「あ、目覚めました?」
「……あぁ、昨日のリスか……。うげっ、頭がいてぇな……」
深夜にバカスカ酒をロックで飲んだからか、ガッツリ二日酔いになっているナイブ。とりあえず起こしてやり、食事を取る為併設されているレストラン……ではなく、食堂の方に向かう。
「なぜ食堂に?」
「こっちには個室があるからね。……色々話したい事、ありますし」
この船は三つも食事ができるところがある。デカいレストランと、個室ありの食堂、それに昨日言ったBARの三つ。大概の奴はレストランの方に行くが、たまに食堂に行く奴がいる。二人は朝食セットを頼み、食事が来るまで話し合う事にした。
「昨日はその……。まぁ色々聞きましたよ。エアさんって人の話、貴方の話」
「……まぁ、そうだ。あたしは昔、あいつと一緒にいて、今はあいつの護衛として働いてる」
「それで、どう思っていますか?……エアさんの事」
「あたしは……。あたしは、あいつのやりたい事をやらせてあげたいんだ。あいつは歌とバイオリンを天秤にかけて……、バイオリンを取った。きっと、それがあいつがやりたい事なんだろう」
「……本当に、そうなの?」
「……そう思ってたが、今はもうわからん。……やっぱり、あいつは歌いたいのかもしれないと……。今になって、思い始めた」
何やら中々ややこしい事情があるらしい。と、返事しようとした時朝食がやってくる。
「お待たせしました」
「あぁうん。ありがとね」
鮭らしい魚と、コメ。後味噌汁と合わせの、何とも言えないが凄く良い朝食。最近訓練し始めたので、とりあえず普通の食事も食べれるようになってきたナラ。ナイブは普通に色々食べれるので、問題はない。
「ん?リスってのは普通、木の実とかしか食わないんじゃないのか?」
「最近、食べられるようになってきたんです」
「ほぉ……?そんな事があるのか。思えばエアも、好き嫌いが激しくてなぁ……。今はなんだかんだ他の食事も食えるようになったが、昔は蟲とか食ってたからなぁ……」
「へー」
食事をしながら、何か思うところがあるのか箸を止めるナイブ。
「……そう言えば、あいつと一緒に飯食ったの……いつだっけか?」
「……。僕が言う事じゃないですけど、一緒に食事を取った方がいいですよ?」
「……そうだな。あたしが勝手に……あいつとの間に壁を作ってたのかもな」
もちもちと飯を食うナラ。しばらく食事していると、どこから入り込んできたのか骸がやってくる。
「やっ」
「げっ、変人」
「え、俺ちゃんの事変人ッて覚えてるの?なんか超ショック!朝食だけに」
「つまらん」「うるさい」
ボロクソに言われる骸。それで何故来たのかと聞かれると、こんなことをしている場合じゃないと思い出す。
「あぁこんな事してる場合じゃないんだ!実はこの船にとんでもない物が乗せられててだな……」
何か関係があるのか?とは思ったが、どうやら面倒ごとに関わってしまっている事は確定らしい。嫌な予感に身を震わせながら、骸の話を聞くナラなのであった。




