第十九話『真・二人目』
「……なかなか来ないね」
「やっぱり負い目があるのかな……」
島から出た後、とりあえず港で朝になるまで待っていた二人。だがギンはやってこない。まぁ仕方ない所もあるかと思いながら、船に乗ろうとする。今回のはそんなに大きくない、小型船くらいの大きさの船である。
「……行こうか」
そしてナラが船に足をかけた瞬間、ギンが二人の前に降りてくる。かなり気まずそうな顔をしている。
「ギン……」
「……俺さ、……一緒に行っても……いいか?」
「良いよ!ついてきて!」
まだ後ろめたいところがあるギンに対し、手を差し出すナラ。ギンはその手を取り、一緒に船に乗る。ミルは、それを見て若干微笑みながら船に乗るのだった。
「で、この船ってどこ行き?」
「ん、『ケラ』行き。暴力とカジノの国」
「えぇ……」
船に揺られながら、次に行く場所を説明するミル。ギンは興味が無いのか、ナラの後ろに回って尻尾をもふもふしていた。
「全体的に……。ゲス外道が多い?」
「なんで行くの……?」
「これも修行の内。それに、そこにある武器がある」
「武器?」
「まぁちょっと言えないけど……。うん、大丈夫」
何が大丈夫なのだろうか。そんな事を考えながら、船は進んでいく。しばらくして、手持ち無沙汰になったギンが絡んでくる。
「なぁナラ」
「何?ギン」
「……んまぁ、そのよ。色々悪かったな。俺にとっちゃ、誰かと一緒にいるってのは中々ない事だったし……」
「謝るならミルに言ってよ。……僕はもう許してる。ミルが良いって言うならそれでいいけどね」
「……そうだよな」
甲板に出て、釣りをしているミルに謝るギン。
「いきなり攫ってマグマの上に拘束したこと……悪かった」
「……」
「俺はあの時、何をしてでもナラを俺の物にしようと思ったんだ。……今思えば、それで下るような奴じゃないだろうがな」
「……」
「謝って許される事じゃないのは知ってるが……それでも……」
「ねぇ」
ギンの謝罪に対し、ミルは釣竿を手渡す。そして横に座るよう指示する。
「……私はね、そんなに怒ってない。どうせナラが助けに来ると思ってたし」
「……そうなのか……」
「だから好きなんだ。……ナラの事。で、ギンも好きなんでしょ?」
「……あぁ」
「じゃあそれでいい。私はナラの傍にいて、いつか選んでくれたらそれでいい」
「……」
かなり覚悟を決めている様子のミル。そんな彼女の事を知ってか知らずか、ナラも甲板にやってくる。
「あっ釣りだ!ねぇ釣り竿ある!?」
「……はい」
「ギンも一緒にやろ!」
「……あぁ!」
まだどこか溝があるのかもしれない。それでも、少しずつ近づいて行けばいいのだ。愛と言うのはそう言う事なのだろうから。




