第十八話『決断、そして……』
「『四枚揃』!」
「何!?」
ギンが何か行動をする前に、即座に発動した技。圧倒的速度で動いたその一撃に、ギンが反応できないのも無理はない。四方向から切り付けられたその四撃は、ギンの体を切り裂く。だがナラにとって技が成功しようと失敗しようと、そんな事はどうでもいい。一番はミルの救出だ。
「おい失敗だ!今のは完璧じゃねぇ!」
「それより『三枚揃』は!?」
「あ!?いや出来てるが……」
「このままミルを助けるよ!」
三枚揃。四枚揃より威力と切れ味は劣る物の、速さだけはどれより高い。一回目の斬撃でミルに肉薄し、二撃目で体を拘束している鉄を切り裂き、そしてミルを掴むとそのまま三回目の斬撃で、火口の反対側に着地する。長い間魔力で守っていたとはいえ、かなり疲弊している様子のミル。だが命に別条はない。
「ミル!?大丈夫!?」
「……助けに……来るって……。信じてたよ……」
「……。まだだ……!」
助けられた事に驚愕しながらも、まだ攻撃しようとするギン。四枚揃は失敗したが、それでも腹には切れ込みが出来ている状況、動くこともままならないはずである。だがそれでも攻撃しようとする。
「も、もうやめなよ!」
「うるさい!俺に指図……ッ!?」
攻撃しようと槍を手にした瞬間、バランスを崩し倒れるギン。だが運悪く、火口の方に向かって倒れてしまう。それを見た瞬間、ナラは走る。そしてもう一度三枚揃を作り、今まさに加工に落ちようとしているギンを救出する。
「大丈夫!?」
「……お、お前……?」
「はぁ……。やっぱりそうしちゃうんだよねぇ」
倒れた瞬間から、あぁ助けるつもりなんだなと思っていたミルは、ギンに対し回復魔法をかけてやる。腹の傷が閉まっていき、治っていく。
「とりあえず一回下のテントに戻らない?」
「はいはい。『転移魔法』」
火口で話すと色々辛いので、一旦下に戻って比較的安全な場所に戻る事になった。
「で、なんであんなことをしたのか説明してもらうか」
「……まぁ、お前が死ねば俺がナラを一人占めできると思ったんだよ」
「結構過激……」
「ま、ここで生きて来た野生児だ。……私達と価値観が違って普通って感じ」
「んでも人殺すのはねぇよなぁ。お前の欲望の為に」
反省している様子ではあるが、かといってこのままにするのは明らかに危険である。さぁどうするかと言った所で、時間が来る。
「……とりあえず、一日だけ待つよ。……もし付いて来るなら、僕は拒まない」
「……俺は……」
ナラは、全ての判断をギンに選ばせることに決めたのであった。




