夜のリビングで
「しかし、ハンプトン辺境伯程の人が王都にいるユリア達家族を見つけられなかったのは疑問です。」
その質問にマクゴナルはちょっと笑った。
「ああ、そうだね。いくら他人になりすましても王都に居れば出会うかもしれないね。」
「はい。ハンプトン様は何年も探していたと聞いています。」
マクゴナルはトーマスを見て笑った。
「忘れたかい?私達は魔法使いなんだよ?」
「あ…」
マクゴナルはちょっと困ったように言った。
「まぁ、王様や王妃様の力を貸していただいたとしても、そりゃあれだけ探せば見つかるだろうからね…」
「やはりそうだったんですか。」
「ああ、ユリアちゃんがある程度大きくなるまでは私が魔法で助けてたんだ。」
トーマスはその答えに納得した。
いくらハンプトンと言えど、筆頭魔法使いが相手では歯が立たないだろう。
その時、ふとトーマスに疑問が沸いた。
「ユリアの母も魔法使いだったのに、何故自分の力を持って使わなかったんでしょうか?」
「あの子はね、心のどこかでハンプトン辺境伯に見つけて欲しかったのさ。魔法使いの気持ちの波は、魔力に影響するからね。だから、私が代わりに力を使ったんだよ。」
「そうだったんですか…」
マクゴナルは静かに微笑んだ。
「私もね、ハンプトン辺境伯が嫌いな訳じゃないんだよ?でもね、冷たくしてないと涙が出そうなんだ。」
マクゴナルは目元をサッと拭くと立ち上がった。
「お引き留めして悪かったね。それじゃ、私はもう寝るよ。」
残されたトーマスは、窓の外を見ていた。
「愛するのは人がいなくなったら…か。俺には耐えられないな…」




