王都へ帰還
トーマスの元へ、ユリアとミュゼットが拐われたと知らせが届いたのはその日の明け方だった。
「何?ユリアとミュゼットが?」
エディと共に隔離されていたエディも起き上がった。
「何だって!」
知らせを持って来たのは、ミュゼットの護衛についていた団員だった。
「申し訳ありません!我々が付いていながら!」
トーマスは起き上がると、すぐに着替え始める。
それを見た団員は驚いた。
「しかし、副総長殿!まだお身体が!」
「こんなものは最初から大丈夫だ。行くぞ、エディ。」
「ああ。」
エディもすぐに支度をしてテントを出る。
外に居た衛生班の人間が、すぐに駆け寄る。
「副総長殿!まだ発疹が治っておりません!」
「大丈夫だ。俺は王都に戻る。」
トーマスは懐から王都に帰還する道が書いてある地図を渡した。
「他の者の発疹が治ったら、この道で王都に帰還するように。後は、この者に任せてある。私の命令だと思ってやってくれ。」
それだけ言うと、トーマスはエディと共に馬で消えていった。
しばらく、行った所で馬に水を飲ませる為休憩を取るトーマスとエディ。
「置いて来た奴って、見たことないけど誰なんだ?」
「ああ、あれは俺の秘密団員だ。」
「秘密団員?そんなの居るのか?」
「まぁな。詳しくは聞かない方がいいかもな。」
エディは頭をかいて笑った。
「ま、お前がやる事だから大丈夫だろうな。」
「ああ。」
それだけ会話すると、またスピードを上げて王都に向かう。
トーマスとエディは長年の付き合いで生まれた信頼がある。
トーマスの何事にも真面目で細部まで気を使う性格を一番よく知っているエディは、その後この話題を口にしなかった。




