力強いハンター
無事に王都の屋敷に到着したトーマスとエディは、早速マクゴナルから詳しい事情を聞いていた。
「え?ユリアが魔法を使えない?」
マクゴナルが頷いた。
「そうなんだ。騎士団が出発した日辺りから体調を崩していたんだよ。その後、魔力に乱れがあってね。」
「その時に拐われたという事か…」
エディは顎をかいていた。
エディが顎をかくときは、落ち着かない時が多い。
それを見たトーマスはエディに言った。
「エディ、落ち着け。」
「ん?あ、ああ。」
しかし、そう言ったトーマスの内心は穏やかではなかった。
ユリアの白の魔法使いとしての力があればこそ安心していたのだが、その力が使えないとなると話は変わってくる。
「ユリアの魔法は、回復する事もあるんですよね。」
「ああ、乱れているだけでずっと使えない訳ではないと思うんだよ。」
「分かりました。」
トーマスは考えていた。
…すぐに助けに行かなければならないな。騎士団が王都に到着するのは早くて2日後か…
「エディ、話がある。」
「ああ。」
トーマスの書斎に入った2人は、ペナン村の地図を広げた。
「実は、置いてきた秘密団員というのは…」
「あっ!ちょっと待て!それオレが聞いて大丈夫なのか?」
「ユリアとミュゼットの命がかかってるんだ。大丈夫
大丈夫じゃないの問題じゃない。」
「ああ、そうだな。」
トーマスはコホンと咳払いをして、また話し始めた。
「置いてきた秘密団員というのは、王宮騎士団の秘密部隊なんだ。何日も前から、ペナン村に潜入させている。」
「秘密部隊…」
「そこからの情報によると、ペナン村には大きな教会がある。ここだ、この真ん中に。」
地図を見ると、村の真ん中に教会があった。
「送られて来た情報によると、村の規模の割に大きすぎる教会らしい。おそらく、ここに2人はいるだろう。」
「その教会は出入りは自由なのか?」
「ああ、表向きは普通の教会だからな。誰でも入ることが出来る。」
「じゃあ、地下だな。」
「俺もそう思う。」
「教会の外から中に入る入り口は2つ。教会の中にはその2つの入り口以外に3つドアがある。」
「そのどれかが当たりって訳か。」
「それもおおよその検討は付けてある。教会にも潜入しているが、下働きの者が入れない入り口は2つ。1つは神父様の書斎と金庫だ。もう1つは分からないそうだ。」
「秘密部隊、すげーな。」
「騎士団が王都に到着するのは早くて2日後だ。」
「間に合わないな。」
「ああ、護衛で残った者は負傷している。しかしこれ以上待ってはいられん。」
「わかった。トーマスと俺で行こう。」
エディがそう言い終わらないうちに、トーマスの書斎のドアが勢いよく開いた。
「私も!私も連れて行ってください!」
入って来たのはハンターだった。
「おい、ハンター。どういう事か分かって言ってるんだろうな。お遊びじゃ出来ないぞ。」
エディがいつになく睨みの効いた目でハンターを見た。
「はい!分かっております!しかし、私は…私は黙って待っている事など出来ません!」
「ハンター。今回のこの作戦は非常に難度の高い作戦だ。足手まといになったら見捨てるぞ。」
トーマスからの鋭い言葉に、ハンターは一瞬ゴクリと唾を呑み込んだが力強い眼差しでトーマスを見返した。
「分かっております!命をかけてついて行きます!」
その時、トーマスとエディが見たのは
今までにないくらい力強くなったハンターの顔だった。




