看板メニュー
一方、ハンプトンとハミルの店へ出かけたユリアは
馬車の中でハンプトンとショウガドリンクについて話し合っていた。
「僕は、ショウガドリンクは絶対にウケると思うよ!」
「はい、私もそう思います。でも、新しいお店にはカフェコーナーは作らないんですよ。だから、どう提供して良いか悩んでいて。」
それを聞いたハンプトンは、手をポンと叩いた。
「僕が前に他国の使者から聞いたんだがね、その国では簡単な飲み物や食べ物は外に用意したカフェで飲んだり出来るそうなんだよ。」
「外にカフェコーナーですか…」
「まぁ、この国にはあまりないけどバルコニーに椅子とテーブルを出したりするだろう?」
「でも、今からバルコニーを作るとなると時間も費用もかかりますね。」
うーん…2人とも首をかしげて考えていた。
ハンプトンは何か思いついたようで、ブツブツと何か言いながら確かめるような仕草をしていた。
「ハンプトン様?」
「ユリアちゃん、以前パンを販売していたよね?あの時はどうやっていたんだい?」
「あ、はい。あの時はキッチン横の小窓から販売をしていました。」
「なるほど…」
「何か思いつかれたんですか?」
「うーん、まだ完璧ではないなぁ。ちょっとまとまったらユリアちゃんに報告するよ。トーマス君とも相談しないとね。」
「はい、わかりました。」
そんな話をしていると、馬車はハミルの店に到着した。
馬車が着くとすぐに店からハミルが出てきた。
「ハンプトン様、ユリア様、ようこそおいで下さいました。」
ハミルは2人を店内の応接室に通すと、何やら奥から持ってきた。
「これは、今このお店にあるショウガです。」
ハミルは大きな籠に山盛りに入ったショウガをテーブルに置く。
「わぁ!こんなに!」
「はい。まずは、これをお持ちください。後は息子が王都まで届けますので。」
「でも、全部私がいただくとこのお店で売る分が…」
「いえいえ!大丈夫ですよ。来週、また大きな船が入りますから。その船もショウガをわんさか乗せて来ますので!」
「そうなんですか?では…ありがたくいただきます。」
すると、ハンプトンがハミルに紙切れを渡した。
「代金はこちらにまとめておいてくれ。」
「あの…ハンプトン様…それは?」
「これから、ユリアさんとこの店は契約という形になるからね。代金はその都度ではなく、王都に来た時にまとめて払うのがいいだろう?」
「そうですね。それだとありがたいです。」
ユリアはハミルを見た。
ハミルはニコニコと笑顔でこちらを見ている。
「ハミルさん、それで大丈夫でしょうか?」
「もちろんでこざいます!ユリア様と契約できるなんて、私にとっちゃ夢みたいな事ですから!」
「ありがとうございます。では、お題は次の配達の時にまとめてお支払いしますので。」
ユリアはハミルに深々と頭を下げた。
「やめてくださいよ!そんなユリア様に頭を下げられちゃ困りますよ!」
ハンプトンはそのやり取りを横で笑いながら見ていた。
「それはそうと、ユリア様。ショウガドリンクの他に、お店で出せそうな物を作ってみたんですがね?ちょっと試食してもらえませんか?」
「わぁ!なんですか!試食!します!」
「では、今用意して来ますので。」
ハミルは店の奥に入って行った。
「楽しみだなぁ。」
ユリアはソワソワしながはハミルを待った。
しばらくして、ハミルが帰ってきた。
「お待たせしました。」
テーブルの上に置かれたのは、ケーキのような物だった。
「これは、ショウガの砂糖漬けをケーキに入れたショウガケーキです。」
ユリアは早速そのショウガケーキを食べてみる。
「………お!美味しい!」
ほんのりと甘いケーキにショウガのピリッとした苦味がなんど言えない美味しさを出していた。
ハミルは美味しそうに食べるユリアに言った。
「このショウガケーキと以前にもお教えしたショウガドリンクで看板メニューになりますか?」
「なります!この2つで看板メニューになります!」
この時、ユリアの新しいカフェの看板メニューが決定した。




