双月の学び舎へ8
荷物を簡単に整えてから、美緒はリクとともに階下へ降りた。
「ごめん、お待たせ」
「ううん、全然!」
ティナが立ち上がる。
「それじゃ、行こうか!」
彼らは寮を出て、歩き始めた。
「学園はね、いくつかのクラスに分かれてるんだ」
ティナが歩きながら説明する。
「攻撃魔法クラスでしょ、それに幻惑魔法クラス、回復魔法クラス、付与魔法クラス、それから防御魔法クラス!」
「そ、そんなにあるの?」
美緒が目を丸くする。
シルヴァンが頷いた。
「ミオは、どこのクラスだ?」
「ど、どこだろう?」
美緒は困ったように笑う。
「そんなにたくさんクラスがあることも、今初めて知ったから……」
「あー」
ティナが納得したように頷いた。
「じゃあ、多分、明日いろいろ説明があると思うよ。
転入生は、初日にクラス発表と説明があるのが普通だから!」
「そうなんだ」
美緒はほっと息を吐いた。
「あ、ねえ。
それぞれどういうクラスか……教えてもらっていい?」
「もちろん」
シルヴァンが頷く。
「攻撃魔法と幻惑魔法は分かるか?」
「うん。それはだいたい分かる。
回復魔法は……回復させるんでしょ?」
「そうだ。体力の回復や解毒などだな。
ここは、結構真面目な奴らが多い」
「そうなんだ……」
「それから、付与魔法」
シルヴァンが続ける。
「ここは、錬成・道具魔法クラスともいわれている。
武器や防具に魔法をエンチャント――付与したり、物質を変化・強化したりする、特殊な魔法を学ぶクラスだ。
どちらかというと、職人肌の気質を持った奴が多いな」
「へえ……」
「前衛の攻撃魔法クラスとの合同授業も多い」
「すごいんだね……」
美緒が感心していると、今度はティナが身を乗り出した。
「あとはね、防御魔法クラス!
ここは結界・空間魔法クラスとも呼ばれてるんだ!」
「結界……」
「そう!
結界を張ったり、空間を歪めて敵の侵入を防いだり、魔法陣を描いて敵を封じ込めたりするの」
ティナは楽しそうに笑った。
「このクラスは、みんな頭の回転が速くて、冷静な子たちが多いかな」
「なるほど……」
「ふふっ。ミオは、どのクラスだろうね!」
そのとき。
足元から、リクの声がした。
『ミオは回復魔法クラスだ』
「あ、やっぱり……。
だろうなとは思ってた」
「え?」
ティナが目を丸くする。
「そうなの? もう言われたの?」
美緒は首を振った。
「ううん。実はね……」
美緒は少しだけ迷ったあと、二人を見た。
「今日、属性検査をしてもらったの。
そのときにね――」
自分の中にある、まだよく分からない力。
「私ね……聖属性を持ってるって、言われたの」
ティナとシルヴァンの足が、同時に止まった。
その表情が変わる。
学園を渡る風が、三人の間を静かに吹き抜けていった。




