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8月短編集  作者: 天雲 律
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9/10

池のヌシ

今日もラジオ体操を二つやり終え、一旦の家路につくその帰り道、丸い石を探しおみくじをする。


「今日は末吉かぁ」


この後は未来の蔵で遊ぶ予定がある、家で生姜焼きを食べる、実家のそうめん地獄からの脱出に、ありがたみを覚え完食する、荷物を整理し蝉が鳴かなくなった夏を歩く。


「混じってる……」


島の中なのに空と海が繋がり境目がなくなる、俺も暑さと混じって境目がなくなる、蝉も家から出たくないのも納得の暑さだった。


「何が混じってるのですか?」


突然隣に未来が現れた、けれどもうあまり驚かない、そうなるほど共に夏を過ごした。


「空と海だよ、水平線が見えるのが珍しいんだ」


「今から予定を変更して、朝聞いた池のヌシを探しに行きましょう!!池も水平線をずっと眺めれます!!」


「じゃあよろしく」


美樹と蔵で合流し、ラジオ体操の時に子供達から聞いた、白いネッシーを探しに行く。


池は未来が行っていた通り水平線が眺められた、蔵から持ち出した釣り竿を垂らしながら、並んで景色を眺める、遠くの島には入道雲が、ソフトクリームみたいな形になっていた。


「あの曇美味しそうだよな」


「はい!フワフワで甘そうです」


……フワフワ、だろうか。


「そうね、牧場近くで食べると美味いわよね」


確かに、牧場近くのソフトクリームは美味しい。


「牧場近くに、わたあめは売ってますか?お祭りの屋台でしか見た事がありません」


「あら、私は肉が焼けた煙みたいだと思ったのだけど」


「バイオレンスです」


雲をみて肉の煙を連想するとは、朝飯を食べてないのだろうか、生姜焼きを思い出す。


「きよぽんは何に見えた?」


「俺は……ソフトクリーム」


「では!帰りに駄菓子屋さんに寄りましょう!!」


その日ヌシが釣れることは無く、雲がネッシーに見えたと結論つけた。


夏休みは、宿題をやらなければいけないと思うくらいには進んでいた。

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