天楼千重波、甘美な味
「次はこっちだよ!」先ほどまでの甘くトロけるような声では無く、確かにそこに存在する活力溢れた声で俺を導いてくれる。
三分程歩くと肉とソースの良い香りにがしてくる場所に連れられた。
「おじちゃん!つくね、ネギマ、ぼんじり、こころを二つずつ」
「あいよ、ところで手繋いでるのは彼氏か?やっと身を固める気になったのか」
即座に否定しようと思ったが、お姉さんが先に返事をしてしまう。
「可愛いでしょ」
「お熱いねぇ、ほれ出来たぞこぼすなよ」
「ありがと、次はこっち行くよ!」
お姉さんにまた何処かに引っ張られ歩き出す、次に向かったのはベンチのある所らしく、座る事が出来た。
立ちっぱなしか歩いてるのが続いたため、足に疲労が溜まっていた。
「疲れてる?焼き鳥食べれば元気になるよ」
隣に座って耳元で囁いてくれるが、先ほどまでの元気で活力溢れる印象とは異なり、落ち着いて安心感のある印象になる。
コロコロ変わる印象に戸惑いつつも、心惹かれ始めていた。
焼き鳥を差し出され一緒に食べる、塩気が効いていて何本でも食べたくなる味だ。
特に気に入ったのはネギマだ、ネギがシャキシャキしていて肉はほんのり焦げているからか、鼻から炭の香りが心地よく抜け、直ぐに食べ終わってしまった。
横を見ると笑顔で美味しそうに食べるお姉さんがいて、自然と笑顔になり更に味が上手く感じた。




