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8月短編集  作者: 天雲 律
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命を選ぶ

授業中周りの喧しさに鬱陶しさを感じる、いつも通りではあるけれど、倫理の授業だからだろう別の事を考えてしまう。


先生はたった2ページの美術の教科書を飛ばし、カントの哲学に入っている、だが俺は美術のページからは離れなかった。


カントの哲学は『誰かに全てを否定されたとしても、それでも肯定出来る何かを見つけろ』言いたいのはおそらくこんな所だろう、たが美術、芸術、美しい物を俺は知らない。


「混ぜればいいか」


カントの哲学と混ぜれば、俺にとって美しい"者"は──


「クロウだな」


スマホのフォルダを開き、愛犬を眺める窓際に立ち空を見つめるその姿、一緒に昼寝してくれる優しさ。


「美しい」


俺は人間嫌いだ、授業中にもかかわらず騒ぐバカな奴ら、注意しない先生。


それでも確かに美しい者はいた。

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