ノートの中の夏祭り
夏休みは残すところあと二日となった、未来と美樹と一緒に祭りに参加している。
「直ぐに迷子になりそうです、きよぽん手繋いでください」
不安そうな、けれど期待をしている顔をした未来のために手を繋ぐ。
「あらあら、仲いいわね」
美樹にからかわれもするが、幸せな気持ちでいっぱいになった。
「人の匂いでむせ返りそうね」
「食べたいものや後で食べれるのを買って、私の蔵に行きましょう!!」
キュウリの一本漬け、唐揚げ、たこ焼き、お好み焼きを食べ、わたあめ、牛串、ソフトクリームを買い未来の蔵に行く。
「夏休み最後と言えば!やる事は一つです!!」
「絵日記です……」
「未来たちの高校には、宿題に絵日記があるのか」
「私がやりたいからやります!!今日は徹夜で絵日記です!!!ノートは射的で手に入れたやつにしましょう」
未来からノートを配られ、蔵の奥からクレヨン等を持ってくる、美樹も嫌ではないのかやる気満々だ。
22時花火の音を聞きながらノートに集中する、未来もいつもだったら飽きたと言いそうな頃合いだが、いつになく集中している、美樹は締め切り五秒前の作家顔負けのスピードで書いている、俺は……
「下手くそですね、昔はもうちょっと上手かった気がします」
恋人から下手くそと言われてもしょうがない出来の絵日記になっていた。
24時日付が変わり蔵の何処かにある時計が鳴った、それでも皆集中してノートに向かっていた、俺は8月にようやく入ったところだ。
ページをめくるたびに、その日何があったかを思い出す、今までの夏休みなら頭を悩ませていたが、今日は手が追いついてくれない。
午前2時、未来が俺の膝で寝始めて30分が経った、「見たら殴ります、30分後に起こしてください」と言われているので、未来の鼻をつまみ起こす。
「おひゃようごじゃりましゅ」
「おはよう」
可愛く起床しまたノートに向かう、が寝起きだからだろうあまり集中できていなかった。
「今から誰にも言いたくない秘密を話すのはどう?」
「いいぞ」
「だいじょぶでーす」
誰にも言いたくない事、沢山あるが二人に引かれないやつを必死に探す。
「私……学校じゃ生徒会長だけど……あまり人が好きじゃないのよね」
「美樹は意外と人見知りです」
「なんとなく分かってたけど」
「あら」この夏何度も見てきた微笑みを浮かべ、こちらを向く、俺は……
「冷たい食べ物苦手なんだ」
「分かってます、昔から駄菓子屋さんのかき氷を食べませんでした」
「ソフトクリームでも頭を押さえてるものね」
夏休みを共に過ごしバレている事もあるし、美樹のように知らない事もあった、未来はどんな秘密だろうか。
「…………私は……、この夏が終わったら少し遠い場所に行きます、でもだいじょぶでーす、来年の夏休みはまたこの島で過ごします、でも明日出発になり……ます」
「私は来年の夏休みあるかしら、受験勉強大変だわ」
「俺も結構遠い場所に住んでるけど、来年また来るよ」
俺の発言の何に驚いたのか、未来が目を丸くする
「そーです!元々きよぽんとは遠距離恋愛になります、……あまり心配は要りませんね………でもまた約束破られたら困ります」
「じゃあこうしましょう、未来と私ときよぽん三人の約束、三人の約束をきよぽんは破った事は無いから、安心でしょ」
「今度こそ破らないよ」
「じゃあ約束です、また来年の夏に会いましょう」
三人で両手を使い指切りをする、来年も三人で夏休みを過ごすそんな"未来"が見えた気がした。




