口づけの蛍丘
とうとう8月下旬、みんな夏休みがあと何日で終わるか何回も数えている頃だろう。
今日の俺は別の事で頭がいっぱいだった。
「今日の夜……蔵の北にある丘に来てくれませんか」
「今日の夜、釣りした池に来てくれる?」
未来と美樹に別の場所に呼び出されている、美樹にこの事を伝えたら好きな方に行けばいいと言われてしまった、悩みに悩んだすえ丸い石地蔵で占う事にする。
「大吉……か」
島に来て二回目の大吉、頭には『好きなように動け』と言葉が響いた。
夜10時知らない道を通り、始めてくる丘に辿り着く、そこはこの世の風景とは思えない程綺麗な、蛍の光で包まれていた。
「綺麗という言葉じゃあ……足りないなぁ」
一人丘を登り一本木の所に立っている未来を見つける。
「きよぽんは……来ないと思ってました」
昼間遊んだ時とは違い、真面目な雰囲気で話かけてくる。
「小学校2年生の夏休み、私との遊びを放ったらかしたんですから」
「それは悪いと思ってる、けど『また楽しい夏休みを過ごす』約束の為に、この島に来たんだ」
未来はじっと黙ったまま、ズンズンとこちらに近づいてくる、瞳からは涙が溢れていた、そのままゼロ距離になり唇と唇が重なった。
「何で再会した時に言ってくれなかったのかは、言わなくていいです、きよちゃんとの夏休みも楽しかったですけど、きよぽんとの夏休みが一番楽しかったです」
満面の笑みが星によって照らされる、こちらも未来の頬に手を当て、もう一度唇を重ねる。
丘から見た朝日は、生まれてから今までで一番綺麗な景色だった




