王クワガタ
8月も中旬お盆を越え、世間の子供達はプールや海や山や川で沢山遊び、日焼けし夏休み前とは少し変わって見えるだろう。
「今日は山で虫取りかぁ……」
現代っ子特有か、都会で過ごしていた俺だからか分からないが、虫取りという経験をした事が無い。
「大丈夫よ、きよぽんと私で作った罠にかかってるはずよ」
美樹は自信満々らしいが、罠を作ったのも始めてだから正直不安だ、顔に出ていたからだろうか美樹が手を握ってくれ、少し安心した。
「年の功てのは凄いな」
「あら……毛虫投げつけるわよ」
ドキドキしたのは毛虫が怖かったからだろう。
罠を見張っている未来と合流し、三つ目のポイントに向かう、一つ目には小さな虫しかおらず、二つ目のポイントではカブトムシがいたが、俺が取り逃がした。
「いました!かかってます!!」
「抑えなさい未来、次こそはきよぽん頼んだわよ」
気づかれないよう慎重に向かう、手どころか足も震えている……が、未来が手を添えて一緒にムシ網を握ってくれた。
「次こそは、必ず!!」
未来と一緒にムシ網を振りかぶる、今度こそ捕まえる事が出来た、未来が中身をガサゴソとあさり成果を掲げる。
「王クワガタゲットですー!!」
目の白いクワガタの話を聞き、ラジオ体操831式を一緒にするようになった男の子の、誕生日プレゼントにしようと話になったが、なんとか達成できた。
「やりましたね!きよぽん」
満面の笑みを未来が浮かべ顔が熱くなる、手の平にはまだ温もりがある気がした。




