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第十三話

「え……ベル、さんですか?」

「えぇ、はい。やけに信憑性があったので信じちゃいました」


 そういってニコリと微笑む彼女は、何も知らなさそう。

 本当にベルが……?信じられない。だってベルは私がどれほど身バレをしたくないか知ってるはず。

 嘘……だよね?お願い嘘であってくれ。


「あの……大丈夫ですか?」

「へ?」

「顔色がとても悪いですよ……」

「あ、すいません動揺しちゃって……まさか私が、そんな大層な噂に巻き込まれるなんて思ってもなくて」


 あはははは。と、乾いた笑みが口からこぼれる。


「そうですよね……私にできる事があれば、何でも言ってくださいね」

「ありがとうございます。……やはり体調がすぐれないので失礼しますね」

「はい。お大事に」


 保健室に行くと見せかけて、私は自分の教室に早足で向かう。

 今までいたカフェテラスは、学園の端っこにあるから少し時間がかかる。

 教室に着いた時には筋肉で足が爆発しそうだった。

 走るより早歩きのほうがつかれる気がする。


「いた…!」

「……?あ、ライナじゃーんどしたん?何か忘れ物?」

「うん……忘れ物」

「へぇ、何忘れたの?」

友情(信頼)

「……変な事いうね、何かの冗談?」


 本当に、冗談だったらいいのにな。


「私がアスランの婚約者だって噂、流したでしょ?」

「……ライナって噂に疎かったと思うんだけど」

「ちょっと、ね」


 今はそんな事どうでもいいんだよ。


「ねぇ、なんでそんなことしたの?私たち……友達じゃなかったの?」


 その瞬間、ベルから笑顔が消えた。


「私がライナ(お前)の事を友達だと思っていたのは昔だけだよ」


 ねぇ、なんでそんなこと言うの。

 ねぇ、なんでそんなことするの?

 ねぇ、友達じゃなかったの?


 ねぇ、私、ベルのそんなそんな顔、知らなかったよ。


「ベル……?」

「ライナは知らないと思うけど私、アスランの事が好きだったんだぁ……」

「……え?」

「昔からずっっっっと」

「な、なんで今更……、言ってくれれば……」

「言ってくれれば、何?私にアスランを譲ってくれた?」


 こんなベル知らない。そんな話も知らない。そんな気持ちも知らない。


 私は今までベルの何を見てきたんだろう。


「私よりも後に好きになったくせに!私よりもアスランの事知らないくせに!私のほうがアスランの事好きなのに……なんで……」


 ベルが、ベルじゃなくなっていく。


「ごめん、ベルの気持ちは正直分からない。だけど、ベルよりわたしのほうが絶対アスランの事すきだよ」


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