↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
440/443

黒煙

「―――……このような瞳を見た事はあるかね?」

 毛を上げた先にレンズが白く濁った瞳が現れた。

 目の中が光が弾けるように魔力が満ちている。


「精霊瞳(フレーンタク)ですか、これは珍しい……」

 ジョーは、しばらくぶりに目を見開いた。

 それほど奇特に見える出会いをしたからだ。


「ほう、知っておるか? 博識(はくしき)よのぉ~」

 微笑むチャーガマ。

 

「いえいえ、前に同じような保持者(ホルダー)にお会いしたことがあるからです。そもそも…… 精霊瞳はどのような……」

 ジョーは驚きつつ言葉を選ぶ。



――『精霊瞳〈フレーンタク〉』―― それ自体が発現する確率が非常に珍しい(何千人~何万人に1人の確率)、国家間でもひとりいれば良いほどの先天性の特別発現者のみ開眼する。条件を付与すれば後天的に儀式等で保持する事も可能(それ自体が非常に珍しい)。効果は同一では無く、瞳の強度〈ランク〉等も様々だが何かしらの視覚的特殊能力を保持できる。ちなみに内容によって精霊の祝福と言われたり、悪魔の瞳と差別されることもある。



「ほぉ……まぁ、気になるだろうが。そのそもジョーさん自身に危害を加えるモノではないので安心して欲しい。言うなれば、人物の鑑定とかいう類に近い」


「人を鑑定するという事ですか……どのように?」


「いやいや、そんな思いつめたような顔をせんでもいい、その人物が悪いか良いか暗いかのぉ、やましい気持ちがあるとか嘘をつくとか、そんなもんだ」

 細く笑ったような感じがした。

 チャーガマは安心するように促し、水タバコを吸う。

 そして、白い煙を吐き出し語り始めた。



「コレのおかげか、それとも運命か、色々とこの国の重責をになう立場にいる事になっておる。まぁ、便利だから使いたがるのはどこも一緒だろうよぉ~。だから、色々な国に連れていかれ、新しいモノを見て、多くを知り、触り、感じ、見聞を広めるようにと若いころから“尽(・)く(・)す(・)よ(・)う(・)”に強制されたわけだ。

そうして、成長し、この国に尽くしている……こんな年になってもなぁ」

 

 チャーガマは腰をトントンと手で叩いた。

 身体のあちこちにガタが来ていると言う示唆をし、ニヤっと笑う。


「―――そんな訳で、他所から来た者を見て回るのが仕事の1つとなっている。まぁ、どこの国もやっている事だ」


 チャーガマの説明にジョーは少し納得した。

 他国は入国を厳重にし、取り調べ等で労力を使って怪しい人物を弾いているのだから、それよりも簡単に鑑定できる者がいればこんなに楽な事は無いはずだ。


「そこで、ジョーさんを見て、ワシは久方ぶりに驚いた訳だ……」


「驚いた……ですか?」


「あぁ、相当に数奇な運命を辿っているじゃろ?」


「いえいえ、普通の冒険者ですが?」


「フフフッ……、ワシを試したか。まぁ、いい。1つ昔話をしよう――。

若いころ、ある国で世間を見て回る途中で催しモノがあった。その国では公開処刑を行う国でその罪人が捕まったそうだ。罪名は通り魔、公になっているだけで56名の命を奪っている大罪人のようだった。その男の名前は忘れたが『切(・)り(・)裂(・)き(・)の(・)な(・)ん(・)と(・)か(・)』とか呼ばれていたそうだ。その男の処刑を見る為に国中の住人が訪れるように広場に溢(あふ)れかえっていてな、偶然にもその公開処刑を見る事になった。初めて見る処刑だから奇妙な感じがしていた。当時、なぜ、みなの前で処刑などという事をと不思議に思ったが、国の政治〈=祭事〉として捉えれば普通のことだと後になって思えた。

囚人の男は鎖に繋がれ、連れだっている者は不思議な恰好をしているように見えた。ボロの身なりだが辺りを睨むでもなく虚ろな様子であったが、姿勢よく歩く姿が印象的だった。石を投げられても特に気にする素振りも無い―――。ただ、その男には黒いモヤがまとわりついていたのをワシは見えていた。

そのまま壇上に上がり台の上に縛られていき、処刑人が斧をもって待機すると役人が何やら民衆に語り掛けていた。罪状なんかを読み上げ終わると、処刑人が斧を持って近くに行き何やら偉そうな者が語りかけおわると、そのまま斧で首を切られて歓声があがり、終了した―――」

 そこまで語ったチャーガマは水タバコを再び口に含んで吐き出す。


「――そして、処刑された者の首を持ち上げて民衆に見せていると、『黒いモヤ』は男の身体から出ていき宙に消えたという訳だ」

 そこまで話してチャーガマは再びジョーをジッと見つめる。


「何が言いたいかお分かりか?」


「つまり、その『黒いモヤ』が、その男の罪という事ですか?」


「真相はわからないが、1つだけ解釈が違う。その男の罪ではなく、その男に殺された怨念の塊という事だ。そういうのは誰しもがあるが――恨まれていれば深き黒に見え、何者かに慕われていれば淡い光が差すという具合にワシの精霊瞳〈フレーンタク〉を通して人物鑑定が出来るという訳だが……」


「なるほど、それで先ほどのような言い方をしていたわけですね」

 ジョーはにこやかに答える。

 チャーガマは対照的に表情を引き締めた。

 

「そう、そしてなぁ~初めてジョーさんにお会いした時に身震いがしたよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なにせ、雲霞(うんか)の如く黒いモヤがまとわりついている人など初めてみたのだから」


 チャーガマはそのままジョーの全身をくまなく見渡し、髪で隠れる瞳からジョーに向かって視線を射貫いた。


(なるほど……だから、あの時に立ち止まったままだったのか)

 無言のままジョーはチャーガマとの出会いを思い出していた。


「ジョーさん、興味があって聞くのだが、何十…、何千人から恨まれば、そのような…のになるのかのぉ?」


 チャーガマの問いかけにジョーは少し考えた。



 

久々投稿、間が空いてもうしわけない ペコリ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。