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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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迷宮訓練3

 

 カティアとフィフィが広場の中で造られた土壁を背に地面に枝で絵を描いて話し合う。

「いい、ちゃんと声をかけてよね」

「うん、カティアちゃんもわたしの動きを見ててね」

「飛び出したら、ハイっ!って言ってね。そしたら避けるから、そこにズドンとお願い」

「わ、わかった。任せて」

「離れて動く時はゆっくりと、間はいっしょにだよね」

「そう、ここも、声をかけようね、飛び出した後で魔術じゃなくて移動している時に発動準備だよ」

「わ、わかった。うしろは任せて」


 ふたりで作戦会議ならぬ訓練会議をして動きの確認を打合せしていく。

 似たような訓練はしたことあるが、実践のような射線が交わる訓練はほぼやった事が無かった。

 

「おい! そろそろ始めるぞ!」

 ジョーが大声ではっぱをかける。

 サイリアに言って土壁の後ろに誤射用の土壌盛りを作らせ終えて初心者用の準備が整った。


 カティアとフィフィは姿勢を戻して訓練の支度をし始めた。

 カティアが持っているのは木剣でフィフィは実戦用のトムソーヤの店でもらった『ティル製のネコ眼杖』を持っていた。練習用の魔杖なんで上等なモノは無かったから。


 

 ――訓練は唐突に始る。

 カティアが後ろを気にしながらフィフィに目くばせをして歩き出した。

 ハンドサインを送り、ゆっくりと第一の曲がり角付近に近寄り進行方向を確認する。 


「前、いける」

「後ろ、ない」

 簡単に答え、進行方向に問題なしの確認をとった。


 そのまま次の曲がり角にいくとカティアは予定通りにいる土人形を確認する。

 持っていた手鏡で姿を視認すると後ろに伝えるように話す。

「敵、1体。攻撃する」

「援護する」

 極めて短いやり取りで言葉を繋げる。

 訓練とはいえ、長ったらしく会話などしている暇も無いから短い言葉で意思表示をするようにしていた。

 無論、実際にはささやく小声か、ハンドサインで無言の意思確認を行った方が実践的ではあるが、知識と経験の浅い2人にそれほどの事は求めていないのでジョーもサイリアも見逃している。



 剣を構えるカティア、目くばせしてフィフィに合図を送る。

 先ほど見た通りにフィフィはカティアから離れ、道の反対側に移動して杖に魔力を込めていく。


「いくよ……ハイッ!」

 カティアがそう言って飛び出すとフィフィも動いた。

 カティアは練習通りに土人形の前に飛び出し横切る。

 後ろを振り返るとフィフィが魔術を放つ準備で杖を突き出しているのが見えた。

 その後に後方から「ハイッ‼」とフィフィの大きい声が響くとカティアの横を“巨大”な何かが通り過ぎた。

  

《ドシャッ!》と鈍い音が響く、カティアは魔術後の追撃に動くが、見た瞬間に動きが停まった。


 なんと、土人形の胴体が吹っ飛び、残されたのは脚部分のみ。

 完全な過剰殺害撃(オーバーキル)の典型例であった。


「師匠、これって攻撃していいの?」

 カティアは予定と違った様子で近くで見守っていたジョーとサイリアに確認を求める。


「もう1回、やろうか……」

 ジョーは盛り土の一部が削れたフィフィの魔術の行方を確認して、遠くから聴こえるフィフィの謝罪の声が響いた所で訓練を中断した。


***


「まず、気になった所を言うと、フィフィは緊張したら魔術の加減が効かない所が出ているな、もっと落ち着いてやればいい。あまりに余分な魔力を消費するのは探索を続ける上でもったいない。次にカティアは突撃の後で、後方の確認を行うな。目標の敵の前で視線を切る行為はすぐに死につながる、初めは怖いかもしれないが後衛を信じる事も前衛の仕事だと思え」

 ジョーは総評のような形で先ほどの訓練の悪い所を注意した。

 カティアもフィフィも頷く。

 自分達でも良くない動きだと思ったからだ。


「でも、フィフィの魔術はちゃんと強めに撃てるよね。緊張すると発動できない人が多いのに、えらいよ。カティアも飛び出し上手だったよ。射線も空けてたし、上手く移動出来ていたと思う。訓練で一番大事なのは自身を深めることよ」

 サイリアは悪い所を言わずに褒める。

 彼女達は大きく頷いた。


 褒められて嬉しそうにしていたが、その姿を見てジョーは腑に落ちない。

(褒めるより、問題点を指摘してあげた方がいいだろ?)

 と、納得の言っていない様子だったが言葉にせずに不満そうな顔をした。


***


 再度行われた訓練ではカティアは同じように動き、フィフィは調整された魔術の矢を土人形に刺して。カティアがトドメを刺して終わった。


「よし、そこまで!」

 ジョーは訓練の終了を告げる。

 元気に返事をするカティアとフィフィ。


「動きの確認は出来たと思う。次は2体とかそれ以上の複数体に対してどうするかと言う所を訓練していきたいので考えておくように」


「「はい!」」

 2人の強い返事が聴こえると――「にゃー! つぎやるにゃ!」と今まで見ていたイアが立ち上がる。


 ジョーは振り向くとイアは準備を始めていた。

「イア、これは訓練だから」

「わかってんにゃー、だからニャ! シショウのデシにゃ!」

 イアはやる気に満ちていた。

 ジョーは少し考えた後で「二人でやるものだから!」といったが

「ひとりでいいにゃ!」とイアに突っ張られる。


「いいじゃない、やらせてあげれば」とサイリアが言えば、イアは飛び出してカティア達が始めた場所に行ってしまった。


「もう、しょうがないヤツだなぁ」と呆れるようなジョーの声が響く。

「やってみたいんでしょ」とサイリアも笑いながら、ノンちゃんに頼んで土人形を再生していった。


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