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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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迷宮訓練1

「んッ……―――それじゃあ……イア、何かな?」

 ジョーは言いにくそうに手をあげたイアを指した。

 彼にとって面倒な事を先にするか後にするかの問題でもある。

 

「にゃッ! にゃんか聞いてたニャ、思ったニャ、はじめから2こにわかれんにゃ、そしてババッってヤルにゃ、そっちのほうがいいにゃ!」


「―――えっと、つまりあれか? 二手に分かれて目標に対して襲撃するって事かな?、そういう意味合いでっていうか、あってるか?」


「にゃ? たぶんだいじょうぶにゃ――!」

 元気に答えるイアにジョーは不安を覚える。

 イアは共通語を完璧に理解していないから説明は難しく、アバウトな部分が多い。

 

「考え方としては非常に正しい、だが、これは隠れて攻める、いわゆる挟撃の部類の話だから、今回は前提条件が間違っている――」

 地面に棒で図解を書きながらイアに向けてジョーは説明を続ける。


「――道があって、周りが森とか隠れる所があり、対象が無防備で歩くという話なら成立するけど、今回は敵ひとり、こっちはふたりという条件で見通しがいい平地という事でやっている。この場合、二手に分かれる事は悪手になる、順列で攻めた方が相手としては嫌だろう」


「別々に分れて攻撃するのがいけない事なんですか? 左右に分れた方が意識的に苦手なかんじがします」

 カティアは躊躇せずに質問をぶつけた。


「いや、間違いじゃないが、何事も例外はある。よくあるのが目標の力量(レベル)の読み違いだ。例えば――グレー、カティアとフィフィがその場で分かれて来たとする。どっちを先に攻撃する?」

 ジョーの後ろで腕を組んで立ったままでいたグレーは唐突な質問に極わずかだけ考えて答えた。

「フィフィだな」

「俺のグレーの立場だったらそうする」

 ジョーも同意する。

「理由はなんですか?」

 カティアとフィフィだけが真面目に尋ねた。


「単純な話し、装備でおおまかに前衛か後衛か理解できそうなら、カティアは前衛、フィフィは後衛になると気が付く。それに遠距離攻撃を持ってそうな魔術士は厄介になるだろうから先に潰すのが正道だろう。そしてフィフィを助けにカティアが来るのを見越して方向転換、迎撃、乱戦と流れを作るとフィフィが仲間撃ちを恐れて動けない間にカティアを制圧、その後、フィフィも撃破という道筋も出来る」


「でも、フィフィちゃんが魔術を放って足止めして、わたしが攻撃する事も出来ますよ」


「本当に出来そうか? そうなるのなら、それが一番だけど…グレー相手に出来るか? グレーの速度に追い付いて迎撃出来るか? 防御を固めて突っ込んでくるんだぞ」


 ジョーに言われカティアとフィフィは顔を見合わせて暫く悩むが「……出来ない…かも」答えを絞り出した。


「そうだろ、現在は実践も修練も足りてない。そんな中で安易に戦力の分散はやってはいけない事だろう。確実な事は言えないが相手の実力が分かるまで無暗に分かれて攻撃という方法は取らないのも正解と言える。『分散』か『集中』これは難しい問題だからパーティーを組むのも3人から4人組と増やして対策をとったり……まぁ、増えると連携をとりずらいという問題も抱えるが、増えた方が戦いやすいというのも本当だ。だが、これだけは言わせてほしい、イアの言った方法も一見いいように見えるが、防がれてしまったらという事も考えないといけない。ここまでの説明でいいか?」


「にゃー!」

 ジョーが顔を向けると勢いのいいイアの応答がきた。

 彼女も理解したと思いたいジョーは2度頷いて、再び弟子に向かい合う。

 

「実践では正解な事など殆どないが、効率的に戦う正道と呼ばれる方法がいくつかある。それを頭に入れておくと戦いやすい―――」

 ジョーはその後もカティアの質問である「盾に有効な武器とは」から様々な武器種類をあげて説明を重ねた。

 もっとも、ラビス等の砕けたおせっかいにより「結局、魔術でドッカンが一番手早い」等のなぞ助言を入れつつ――。


「それじゃあ、次はカティア希望の迷宮訓練に移る」とジョーは宣言した。

***


 ジョーは地面に棒で線を描いていく。

「こんなものか……」

 描き終えるとサイリアに合図を送った。


 サイリアは土精霊(ノーム)の『ノンちゃん』を召喚し終えており。

 合図があると「それじゃあ、お願いね」とノンちゃんに頼むと『ピキュー! プルプルッ』と返事と踊りがあった。


 ノンちゃんの祈りの後にズズズッと土の壁がせり上がる。

 右側は2メートル超の壁、もう一方は30センチ程の小さな盛り上り、右折と左折の道のような曲がり角が見事に出来た。


「よしよし、ありがとねー」とサイリアはノンちゃんの身体を持ち上げる。

『まかせとけよ』と言うようにノンちゃんは反応して、即座にサイリアの掌で踊っていた。


 その様子をイアを始めとする獣人の子供たちが「なんにゃ?なんにゃ?」と興味深そうに眺めながら、ノンちゃんの周りを囲い始めた。


 土精霊は地面に飛び降りて踊り出した。

 ソレにつられてシュキマやドゥリとリィムも跳ねて遊ぶ。


「ニャー? これニャン? “セーレイ”ってやつにゃ?」

 イアは不思議そうにしていたが尻尾では踊りのリズムをとっていた。

「そうそう、師匠の召喚術だよ。 水とか風の精霊も呼べるんだって」

 カティアはイアに説明してあげる。

「にゃぁぁ? はじめてみたニャ! めずらしいニャ!」

「そうなんだ、面白いよね」

「にゃーハハハハッ そうニャ!」 

 

 カティアとイアが話し合っているとシュキマが突然に踊っているノンちゃんに飛び掛かり遊びだし、ノンちゃんも対抗するように身体を大きくしてシュキマに巻き付くというハプニングがありつつ色々あってサイリアが仲裁して事なきを得た。


「お~い、そろそろ始めたいんだけど……」

 ジョーがそのように呼び始める。


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