観光1
「にゃああぁぁ、ここが庭Nyaaaaa!」
何時になく高いテンションでイアはグルミサパタの都市の象徴である岩の上に来ていた。
「「お――――!」」(カティアとフィフィの感心の声)
「あそこが、イケNyaa!」
次々に指をさして案内するイア。
「「お――――!」」と同じようにカティアとフィフィから声があがる。
建物、石、椅子など――どこでもあるモノを紹介して驚いているようだ。
つまり、彼女達は特別な旅行先高揚症候群(何見ても楽しい)にかかっているいるのだ。
突然駆けだしたり、辺りを興味深そうに見て回っている。
「あの池には何かいるの?」
「にゃんかいるにゃ!」
「見に行こう!」
「にゃーッ!」
走り出すカティア、フィフィ、イアにパポン。
その様子を見守るジョーにゾゾロを抱きかかえたサイリアが連なって歩く。
「あいつら、屋上から落ちないだろうな……」
ジョーは不安を口にする。
ここはグルミサパタの岩山の屋上。古代に造られた不思議な庭園、安全配慮も無かっただろうか縁の部分は後から付け足したのか木の柵は一応ある程度だ。
小さな子供程度だったら隙間から落ちるだろう。
「心配なら見てれば?」
「そこまでバカじゃない……、いや、見守る義務もないだろ? 依頼は終わったんだ」
「そっか……、でも、なんでついてきたの?」
サイリアに言葉とは裏腹な行動を見透かされてジョーは照れ臭そうに顔を逸らした。
そういう風にしているとゾゾロがサリイアの服を引っ張る。
「どうしたのゾゾロちゃん?」
「きゅーん……ボクモ」
何かを訴えるようにサイリアに言葉を告げた。
「あら、一緒に見たいのね」
ゾゾロの態度と表情から何をしたいか段々わかるようになっていた。
サイリアはゾゾロを下ろした。
ゾゾロはスグに駆けだそうとするが、サイリアが「まって、まって」と急いで肩に手を置いて止める。
「一緒にいこうね」と手を差し出すとゾゾロはその手に繋がれてゆっくりとカティア達の元に歩いて行った。
ジョーはサイリアが行った後ろ姿を横目で確認すると近くにあるちょうどいい岩に座った。
【お前は行かなくていいのか?」
背中にいる相棒のスネークが質問をしてくる。
「いいんだよ、依頼が終わったらゆっくりしたい」
【だが、旅先では『わぁ、すごーい』とか『たのしぃ』とかいうのが礼儀だぞ】
「どこの礼儀だよ」
【ほらほら、素直になれよ、一緒に見たいだろ】
うるさく言う蛇腹刀の柄を思いっきりジョーは殴った。
***
「本当に魚がいる。あの赤い魚かわいい♡」
池のソコを眺めながらカティアは呟いた。
「この池の造り、ふしぎだよね、階段状になってる」
逆の四角錐のように底に向かって小さくなっている池のカタチにフィフィは素直に驚いた。
「そう、わたしも思った。でも、それ以上に水かキレイ」
「これ、どこから来ているのかな」
「あそこだよ、あの小さい建物がある所」
カティアとフィフィの疑問にパポンが答える。
「アレが言ってた、水を生み出す所?」
「そう、壺みたいなモノから溢れてるの、それがココまで流れて、その後、あっちの崖の方に流れるんだよ」
指で空中をなぞりながらパポンは水流の行方を説明してくれる。
「それって見れるの?」
カティアは尋ねた。
「う~ん、どうだろう? お爺さまは頑丈に閉じたって言っていたような……入れないかも」
「ちょっと確認してくる」
カティアはそう言うと、わきめも振らず駆けだした。
小屋に着くと、早速扉を開けようとするが開かない。
何度もやって無理だとわかるとフィフィとパポンもいる方に両腕で大きなバッテンを作り「無理!」と大きく叫んだ。
そんなやり取りをしているその近くでゾゾロは何度もため池の中に手を入れて小魚を取ろうとしていた。
「《ゾゾロ、それじゃあとれないにゃ!》」
座っているイアは注意した。
「《いい…》」
ゾゾロは気にしない様子で水の中で腕を回す。
「楽しい、ゾゾロちゃん?」
サイリアがため池の縁に座りながら尋ねていた。
ちなみに獣人語で話す彼らの言葉の意味は理解していない。
サイリアの言葉に反応してゾゾロは嬉しそうに頷いた。
泣いて休んで元気が出たようだ。
そのままゾゾロは水の中を見ると――何を考えてか、突然に顔を水中に突っ込む。
しばらく、そのまま辺りを見た後、再び戻ってびしょ濡れになってしまった。
「ッ、、、もう、どうしたの急に」
サイリア急いで拭くものを探した。
「《おいしそうだった》」
ゾゾロは気にしない様子でそのまま首をブルブルと振るう。
「ダメダメ、辺りに飛んじゃうでしょ」
布でゾゾロの顔を急いで拭くサイリア。
気にしない様子のゾゾロ、されるがまま顔をもみくちゃにされる。
「にゃー……そういえばハラへったにゃー。 そうにゃ! 食いにいくにゃー!」
イアは思い立ったように大声を出した。




