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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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接触

「お初にお目にかかります」

 共通語の古い言い回しでジョー達の前に現れたのは複数の獣人達。

 その内の代表のひとりが前に出て挨拶をしてきたのだ。


“包掌(ダオ)”と呼ばれる“大人”の獣人間の独特な礼儀作法。手を片方の手で包んで敵意の無い事を示す仕草だとパポンにきいていたジョーは咄嗟に同じ仕草で返す。


「これはどうも……」

 挨拶を返すついでにチラリと彼らをみるが(役人か……)と判断した。

 理由は服装と雰囲気。兵士のような獣人が武器と防具を携帯しているのに対し目の前にタヌキ、イヌ、キツネの3名は武器の携帯は無く、服装もゆったりしているが同じ柄の同じような服装に統一していたからだ。

 種族の違いに多少の誤差はあるが、同じ服装なら目的意識があると判断した。

 そして、警戒しているが、それほど強い威圧感も無く、争いごとの気配がなく穏やかな表情を向けているのが彼らを役人タイプだと判断した理由になる。


「“選政官”の方々でしょうか?」

 ジョーはゆっくりと相手の目を見て尋ねる。

 立場を明確にしたいが為に。


 ※『選政官』とは――種族間の族長を一名の代表者として選び、そこからさらに選別して数名が獣人国の政治官として選ばれ、国家を運用を担う官吏の事。選考基準が特殊な為に共和制や種族制の要素も含め民主的には選ばれていない独特な国家運営法。

 この情報はあくまでもパポンから確認している。


 ジョーの問いかけにタヌキの顔の獣人が「いえ、我々は補佐の者です」と答えてくれた。


「これは無知ゆえに、ご無礼を働き誠に申し訳ありません」

 言葉だけだが深く重ねるように謝っておく。

 こうする事によりジョーは相手が緊張している理由の1つ。

 粗暴なる者にならず理知的な振る舞いも出来る者だと印象つけられるからだ。

 実際にジョーの言葉の後で彼らの表情が和らいだように感じている事に彼は気が付く。


 第一印象とは、それほど重要な点であり、粗暴な振る舞いは避けるべきだという事の一例になる。

「いえいえ、お気になさらずに願います」

 謙虚な対応には謙虚な姿勢で返す。

 基本的な行いだが打ち解ける事と今後の発展に関わる事だから彼は慎重に行動にうつした。

 

「お気遣いに感謝します」


 挨拶と会話を終え、軽く自己紹介と経緯を話した後、補佐官の方々は要件に入る前に提案をしてきた。


「先に保護された子供たちの親と再会させて頂きたい」


 真っ当な提案である。

 拒否する話でもないので「当然ですね」とジョーは返事をした。

 こうして和やかな雰囲気に変わり場所を移していく。


***


 ここまで案内してくれたンゴとも別れ、ジョー達は岩山の宮殿内を歩いていく。

 道中軽く会話をはさみながら世間話に花を咲かせる。

「――ンゴは役に立ちましたかな」

 キツネ獣人の『コツ』が何気ない話題をふる。


「えぇ、もちろんです。彼は非常に優秀で道中おおいに役立ちました」


「それはよかった。無事に到着されてこちらも一安心です」


「すこし遅れましたが……。この宮殿に選政官の方々もお見えになるのですか?」

 ジョーの問いかけにイヌ獣人の『クゥ』が長い耳を動かして答える。


「いえ、こちらには向っていますが、その前に神都(ダイダライ)にて方針を問い合わせているみたいです、近くまでは来ているでしょうな」


「急に訪ねてしまいましたから、余計な対応をさせてしまいました」


「いえいえ、そちらにも理由がありますのでお気になさらず」

 クゥは焦りのような表情を浮かべた。

 実際に他国のえらい人物(貴族系)に会うのなら事前に伝手を辿って手紙を書くなり、やる事は多い。それは文明差、種族差あれど急な来訪は歓迎されないはずである。

 しかしながら実際にそのような長いやり取りをしていては素早い対応も出来ずに長い期間にわたって獣人国に入る事もいく事も出来なかったのは事実だろう。

 それによって割りをくうのはジョー達よりもイア、パポン、ゾゾロ、プミプミの子供たちになる。


 一拍間を置いて――。


「子供たちを合わせた後に、我々との会談に応じて頂きたい。族長がくるまでに確認をしたいので、もちろん部屋は用意します故に」

 タヌキ獣人の『リン』が穏やかな顔で要件を話しかけてきた。


「もちろんです、こちらも“色々”と話し合いたい事がありますから」

 ジョーは応じる。

 話したい事とは、“これからの事”について決めなければならない。

 これからとはイア達の引き渡しの経緯の説明、国がやった事、書状の確認、ジョー達の要望などを決めるという事だ。

 それは代表に面会し要請するのではなく、その前の段階で取りまとめられる事が殆どだ。、特に国と国同士が絡むと事前の取り決めが全てと言っても過言ではない。

 そして事前に決められた内容を公の場で発表しているのに過ぎない。

 

 それが彼ら3名がジョーに先だって挨拶した理由で、ジョーも礼儀を持って応えた理由でもある。

 彼らは補佐官で代表者(ジョー)に話を聴きたかった。ジョーも選政官(だいひょう)に会う前に話を通して貰いたかった。まさにWIN-WINな関係。


 ――そんな話も唐突に終わる。


「あの部屋に集まってもらってます」

 リンが指さすと廊下の先の突き当たった部屋の扉が先行している兵士の獣人たちによって開かれた。


ちなみに補佐の人の名前は狐狗狸(こっくり)からきています。



 

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