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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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幕間 母を訪ねて何千里? 3

「《楽しいですか?》」

  ダグラックは“獣人語”で船内を見ているゾゾロとプミプミに話しかけた。

  彼と彼女は振り返ってコクコクと頷く。


「《よかったです、では、少し船内を案内してあげましょう》」

 ダグラックに言われ、ゾゾロとプミプミは目を輝かす。


「副船長、獣人語も話せたんですね」

 部下の1人が驚いたように声をかけた。

「当然です、『5言語、5礼儀』を習得せねば飛行船の指揮者にはなれません。我々の商売は複数言語の習得は必須ですよ。当然、船長も習っているはず」

 ダグラックは厳しい目を船長ウッツに向けると、それと同時に顔を逸らすウッツ。

 日常会話レベルの話だが聞き取る事と喋れることは別の技能になる。

 もちろん、ウッツが完全に言語を習得しているならばニコの仲介などは不要であった。


「それよりも、子供たちを案内してくれ。俺は船の指揮をせねばならないからな」

 もっともらしい事をいって話題を逸らすウッツ。

 より厳しい視線が船員から向けられる結果となった。


「まぁ、いいでしょう。「《お名前をうかがっても? ちなみに私はダグラックと申します、この船の副船長です》」」

 ダグラックの問いに「ゾゾロ!」、「プミプミ!」と手をあげて元気よく応える2人に笑みを浮かべ「《よくできました、えらいですよ。さぁ、ゾゾロくん、プミプミちゃん、いきましょう》」と彼は誘う。


 船の操舵室は大きく3つに分けられた構造になっている。船長・副船長の席、操舵の為の大きな舵に操舵主、そして船の計器を管理する場所に分かれている為だ。部屋にいる者は補助を含めて7名しかいない。

 その一番外、計器に座る女性船員の近くにきていた。

「《彼女は速度計、風速計、外圧計を主に担当する部署を担当する者です》」

 ダグラックの紹介で女性船員は手を振って応えた。


 しかし、ダグラックの説明にゾゾロとプミプミは不思議そうな顔をした。

「《そくどってなに? ふうそく?》」

 子供たちが聞きなれない言葉の意味。それに思い立ったダグラックはハッとした表情を浮かべる。

(しまった)という顔をしてスグに表情を戻す。


「《いいですか、速度とは簡単に言えばある距離をどの位の時間で到着したのかという指標です》」

「う~~~~ン」

 理解を示そうとしているが言葉にしても直観が働かないようだ。なぜならゾゾロとプミプミは小さな子供、知識など持ち合わせてはいない年齢だから。


「《むずかしいですか……。それなら、そうですね。自分の家からトモダチの家に行くとします。歩くのと走るのはどっちが速くつくでしょう?》」

「「《はしるの!》」」――2人同時に手をあげる。


「《そうですね、走ると速く着きます。それは、どの程度速く走ったかを計る機器です》」


「《どうやってきめるの? だれがやってるの?》」


「《説明はむずかしいですが、船の先端に測定するものがとりつけられています。風を受けて、回転体(タービン)が回り、計測器が動く仕組みです》」

 ダグラックはそこまで説明して子供たちの顔を見たがチンプンカンプンという表情が見て取れた。(これは、やってしまいましたね)と思いながら、専門的知識の説明を幼い子供に分かりやすく説明するという苦行を乗り越える事が出来なかった自分を恥じた。

 絵を描くなり、もっと説明を分解し、分かりやすく言語化すべきだがダグラック自身にそこまでの教養と才能を求めるのは酷な話になる。

 特に専門的な知識とはその分野の下地があってこそ輝く話で、ごく一般的に成長中のゾゾロやプミプミにそのような知識と素養を求める事態がアホらしい話だ。


 ニコリと笑ってダグラックは「《次に行きましょう、ついてきてください》」と告げた。


 次に紹介された所には男性が座っていた。

 彼は子供に手を振って挨拶をする。


「《彼は方位計と地図をみる案内人(ナビ)の役割をしている人です》」

「《これが“ほーいけい”?》」

 ゾゾロは頭大くらいの透明な球形の物体を指さした。

 木材で円状に覆いながら球体が浮くように設置され中心に赤い針が浮いている。


「《そうです》」

「《そーなんだ》」、「《きれいだねぇ》」

 興味深そうに方位計器を見つめる。ゾゾロとプミプミ。

「《だっく…らっくちゃん》」

 ゾゾロはダグラックの名を呼んだ。

「《ダグラックです。呼びにくいようでしたらラックでかまいません、親しい友はそう呼びます》」

「《ラック! これは何つかうの?》」

「《これはですね、非常に重要なモノなのですよ。これが無いと私たちは迷子になってしまいます》」

「「《そーなの!》」」

「《えぇ、コレと地図がある事により、現在地、つまり、今いる場所がわかるんです》」

「《なんで?》」

「《真ん中に赤い針が見えますか?》」

「《うん!とがってる》」

「《それが“北”を指しています。この方向は絶対に変わりません、それが絶対の基準になるのです》」

「《そーなんだ……、でも、それがどうしたの?》」

「《地上を……馬車にのって町から町に行くには道にそって移動すれば到着します、看板もありますし目的の場所に生きやすいです。ですが空には方向を知るすべは少ないです、目印も少なく、最悪、雲や霧で遠くを見通せなくなります。そうなれば迷子になってしまいます」

 ゾゾロとプミプミは暫らく考えながら自分たちがこれまで旅してきた行程を思い出した。

「《そーだ、かみみてた》」

「《あれはチズだね》」


「《空の旅では方位は重要です。1つの方向がわかれば良いのですから》」

「《こっちは? チズ》」

「《これは、空路図といいます。一般的な地図とは少し違いますが同じようなものですよ、見て見ますか?》」

 ダグラックの言葉に素直にしたがってゾゾロは脇を持たれて持ち上げられ、自分の背より少し高い机に置かれた地図を視認していく。

「《ねー、ねー、見たい!》」とプミプミの交互の要求に応えながらダグラックの船内案内は続いていく。


補足。

 速度計、車やバイクについているタコメータの事です。

 原理は歯車とタイヤが回る事の回転で針が回る仕組みらしいですが。航空機などは別らしい、詳しくは覚えていないけどピトー官だったかな? 圧力で速度を計る仕組みだったかと思います。

 原理は専門じゃないので説明不能です。誰か可能なら5,6歳児に簡単に理解できるような説明可能な天才を募集しています教えてください。


 方位磁針じゃないけど、大航海時代の波に揺られても狂わない羅針盤を思い浮かべて欲しい。

 この世界感だと多少魔術補正も入っている機器です。

 惑星の磁界というのは、確か過去に地球に出来た大陸が自沈していき、地球のコアにぶつかって生まれたと記憶している。磁界は周期的に変わるそうだ(何十万年単位で)だからこの世界で北が絶対的に正解かわからないが、不要な感覚や違和感を無くすために北が北極だとおもって欲しい。




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