空旅4
「これは、あくまでも仮定としてだが、近代と古代では戦い方は全く違う。今回は原始的に戦術も単純な古代の戦い方で進めるとしよう」
ジョーは戦争の戦い方の『設定』を決める。
すかさずカティアは手を挙げて、質問をした。
「そんなに、古代と違うんですか?」
そう言われ、ジョーは少し悩む。
「まず、古代の戦争は何日で行われたのか、知っているか?」
「どのくらい昔なんですか?」
カティアは尋ねた。
「そうだな、1000年位前だと考えよう」
カティアの話でカティアは考える。
「どれくらいだと思う?」と隣にいるフィフィに尋ねた。
「一年戦争って話もあるし、1年じゃないかな?」
なるほどという顔でカティアは納得し「師匠!1年です!」とハッキリ答えた。
「ブッブーッ、正解は大体平均4日です。長くても10日。そして農耕期以外の天気の荒れてない日になっていた」
「えッ――! そんなに短いんですか? それに時期も?」
「そうだな、そもそも勘違いしているが、兵士を集めて飯を食わせるだけで相当な労力が必要になる。運ぶにしろ、飯を保存にするにしろそんなに長くは持たなかった。だから当時は短期決戦、短期決着が普通なんだよ。当時の大国以外、1年も戦えるような状況は無かった。戦争の継続とはそれほど大変な事なんだよ。まして、戦いの前に食料の備蓄などをする余裕が無かった。現代のように土地が豊かに発展していたわけではない、むしろ日々の生活が困窮していたほどだ」
「な、なるほど……、だから短いんですね」
「そう、常に戦争とはできるだけ短く決着をつける事を軸にして考えられている。何年も何十年も戦を続ける事は不可能、もし泥沼の戦争になれば、負けという事だ。それをふまえてスピードをもって進めていく」
ジョーはそこまでいって空中を指さした。
「さて、戦争の始まりは“どうでもいい”、起こってしまった事に対して、とやかくいう事は無い、その後、どうするかという事になる。それでは、まず、戦争の準備をすべきだと思う、戦争をするなら、何が必要だ?」
ジョーはカティアとフィフィ、それにイアにパポンの方を見た。
「ゴハン!」、「武器ですか?」、「メシにゃ!」、「たたかいなら防具でしょうか?」
それぞれ口にする言葉にジョーは頷いた。
「そうだな、武器、防具、それに食料を持たないといけない。それを買うなら誰が適任になる?」
「商人!」と間髪入れずにカティアが答える。
「そうだな、多くの食料を取り扱うなら大商人が最も適しているだろう。だが、多くは国ごとに買い上げている場合が多いが、規模によって役割が別れ、国の仕組みが違うという事もあるから注意するように……」
ジョーは優しく指南しながら次の言葉を繋げた「…では、食料や武器、防具を買うなら何が必要だ?」
「カネです!」と元気よく答えるフィフィ。
「そうだな、カネが必要だ。 そして、カネは無くなるという事だ……」
ジョーはそう言うとおもむろに揚げ菓子に手を伸ばした。
それを合図にラリーやアンジー、ミレイやグレーがお菓子に手を伸ばしていく。
「あッ!あぁ――――――――――――――――――――――!!」
消えていくお菓子にカティアやフィフィは叫び声をあげた。
「何を驚いている。カネは無くなるモノだ。何かを買えば減るだろう?」
ジョーは冷たく伝えた。
「でも、町で買った、美味しいお菓子ですから……」
シュンとした様子のフィフィ。
彼女が一番食べたかったのだろう。
「仕方ない、これを……」
ジョーは腰鞄から小さい袋をとり出すと机の上にあけた。
中身は乾燥した木の実類、常食用とっている、大人のお菓子だ。
夜営の時に眠気覚ましに噛むと効果があるので大抵の冒険者や移動の多い商人などが町の雑貨屋で購入している。
「これ、あんまり美味しくない木の実ですよね」
カティアは冷たい表情で経験からの感想を言う。
「仕方がないだろ、武器の変わりだよ。美味しい武器なんてないだろ? それに、いまは戦争の説明中だ」
ジョーはギロリと睨んだ。
それで彼女たちの口を塞ぐ。
「それじゃあ、武器も揃った所で次は行軍して行かなきゃいけない。そして戦場で衝突するまでもやるぞ」
ジョーがそこまで言うと「ワウワウッ」と小さい声がテーブルの下から響いた。
ソコにいたのはゾゾロとプミプミ。
ニコの手伝い中に視界に入るお菓子類の袋と匂い、自然に足が向き。目をキラキラさせながら何かを訴えている。
『オカシ、オカシがあるんですか?』という風に背景に描かれているような嬉しそうな表情と、それを表しているフリフリの尻尾。
ジョーは無造作に塩菓子を手に取ると「行軍には移動だけで食料が必要だ……」そして、そのままゾゾロの口の前に持っていき、お菓子を見たゾゾロは大きな口をあけた。
そこに、お菓子を投げ入れる。
ボリボリと音を立てて「おちてぃ~」と嬉しがるゾゾロ。
プミプミにも同じようにお菓子をあげてると、嬉しそうにサクサクと食べていく。
他にいるミックやアンジー、ミレイやラリーもエモノを見定めた猛禽類のように塩菓子を奪っていった。
「いや、嫌―――――ッ! わたしのお菓子!」
「やめるにゃ~! きえちゃうニャ~!」
カティアもイアも必死に守るが相手が悪い、高レベルの冒険者が防御の薄い所を狙って素早く食べていくので追い付かない。
フィフィに至っては大切な食料が消えていくショックで呆然としてしまっている。
「次は戦争だな、戦争なら衝突で民が消えていく、つまり、甘い焼き菓子が消えるという事だ」
ジョーは容赦なく焼き菓子の山からゴッソリ菓子掴みで取り去っていく。




