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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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空旅2

「きゅッ、きゅッ、きゅッ!」

「ちゃッ、ちゃッ、ちゃッ♪」

 テーブルの上に置かれたニコの“魔導義手(マイルアーマー)”を布で拭く、ゾゾロとプミプミ。

 ふたりで気持ちよく手伝いをしている。

 もちろん強制ではなく、自ら進んでニコの手伝いをしているのだ。

 そんな姿を見ながら笑みを浮かべ、ニコは持ち物の手入れを済ませていく。

 そして無くなった左手の付け根を優しく触った。


 


 ジョー達は朝起きてから装備の点検を済ませるのが日課、むしろ義務といっていい。

 冒険者をやっていれば余程の事がなければ寝る前に装備の整備を済ませ、起きてから点検を行うのは普通の事なのでカティアとフィフィにとっても訓練の一環にしている。


 そんな中で、各自点検の終わりを迎え、穏やかな時間――という暇な時間が来てしまった。

 飛行船の乗員にとって寄港地での荷下ろしは重要かつハードな作業。

 荷物出し入れしている場所は今は戦場だろう。

 しかし、ジョー達には関係ない事、言わばお客様待遇なので仕事はしない、しかし訓練するにも場所も無く、仕方がないので持っているお菓子とお茶の準備を進めていく。



***

「さぁ、持ってきました」

 テーブルの上に袋を置くカティア。

 中身はこれまでの旅で買い揃えた、日持ちする焼き菓子&揚げ菓子類だ。

 これまで寄った町や都市で“おねだり”した成果が詰まっている。


「おぉ、遅かったな」

「ほら、お茶が冷めちゃうよ」

 ラリーとラビスはくつろぎながら部屋に戻っていたカティアとフィフィに声をかけた。


 カティアも挨拶を済ませるとジョーの前に座った。

 サイリアがそっと携帯ポットからお茶をカップに入れてカティアとフィフィの前に差し出した。


「おカシにゃ!」

 さっそくお菓子の紙袋を開けようとするイア。

「ちょっと待てイア! その前に説明をする」

 ジョーが止めると、イアは大人しく身を引いた。尻尾も耳も垂れ下がっている状態で。


「それじゃあ説明をする前に、“戦争”とはそもそもなんだと思う?」

 ジョーは突然カティア、フィフィ、イア、パポンにに尋ねた。


「う~~~~~、と、えっと、人がっていうか、なんだろうお互いに争う事? すっごい数で」

 カティアは答える。

 同調するようにフィフィとパポンは頷くが、イアは考え込んでいる。


「それは行為に対しての過程の話だな。戦争は国と国、又は複数の国家の政治的な行為だ」


「国家の? 政治って国の決まりを造る事ですよね?」


「間違いなくそうだな、政治とは国をどのように動かすかという事だ」

「でも、戦争ってかけ離れているように感じるんですけど?」

「いや、何も違わない、例えば同盟国、ブリューシュ王国とパンテオン王国は同盟を敷いているが、つまり、国同士で仲良くしようね。という事だ。政治的に決めて、国境などを通りやすく、通貨も合わせているだろ?と、考えると、敵国なら“殴り合おうぜ”となる訳だ。つまり戦争するってそういう感じだな」

「なんか、子供の決め方みたいな言い方ですね」

「そんなもんだよ、戦争を決めるって、子供のケンカの延長線上の話で、それに国民が巻き込まれている。それがスゴイ数になるけど、実際に国を一個の人に置き換えると分かりやすくなるかもな」

「トモダチとケンカになったのが戦争ですか?」

「うん……表現としては“よく知らない人とケンカになった”という方が正しいかもな。そもそも、戦争は誤解から始まる事もあるからな。それはいいとして戦争の感じは掴めたと思う」

 ジョーの同意にカティアとフィフィとパポンは頷いた。

 イアはまだ考えている。

「次に戦争とは大規模な数の人が参加すると思われているが、実際に国民の100人に1か2人だな。それが兵士にする上限だ」

「そんなに少ないんですか?」

「いや、それでも多いだろう、まず考えて欲しい。国の人口の半分は女性になる、そこに子供と老人の戦えない人を引くと15から30才位の男性が選ばれる。そもそも男性は少数の村では貴重な労働要員だ。それをすべて持っていかれたら自衛も不可能になって村自体が滅びるし国のとっても経済的に負担になる。町でも同じなら全体から細かに集めないと戦争など出来ない」


「う~ん、確かに」

「もっといっぱい兵士になるかと思ってました」

 カティアとフィフィはそれぞれ思っている事を口にした。


「でも、言うけどね。戦場にもオンナは立つよ」

 アンジーが口を挟んだ。ジョーが戦闘要員として女性を外した事への抗議だろう。


「まぁ、確かに、女性を含めて、子供も、老人も動員したとなれば、100人中20人、つまり5人に1人は戦争にかり出す事は可能だが。それは国の滅亡に繋がるし、その前に戦争とは終わっていなければならない」

 ジョーはそれを感じ取ったか、含み笑いでお茶を飲んで説明をした。


「そうなんですか? 全員一丸でっていう感じだと聞いたんですけど」

 カティアは不思議そうに声をだした。


「それは気持ち、そんな気持ちで戦争をするっていう話だよ。だが、実際に全員参加させる戦争は一番悲惨な結果だけが残るので、それだけは覚えておきなさい。玉砕覚悟をした国には何も残ってないから」

 念を押すようにジョーはカティアとフィフィに告げる


「もしやったらどうなるんですか?」

 興味本位でフィフィは尋ねる。


「悲惨だって、戦後に何も残らず、混乱したまま人が死んでいく、国という体もとれないまま何も生まず、何も残さずに空白地帯になって終わりだ」


「それじゃあ、勝つしかないですね。負ける前に」

 カティアはそのように結論付ける。


「カティア……間違ってはいないが、戦争とはそもそも政治的意味がある。勝ち負けの2つだけでなく、大きく分けると『勝って徳をする戦争』、『負けて損をする戦争』、『勝って損をする戦争』、『負けて徳をする戦争』の4つだ」


「勝って損ですか、負けて徳ですか? それって戦争に勝ったら良いんじゃないんですか?」

「その通りだが、それでは意味がない。戦争して攻めてボコボコにして、はい、帰るぞ! とはならないわけだ。なにかしら利点……土地や鉱山の割譲など、その国にとって恵みをもたらさなければいけない」


「たしかにッ!」


「しかしだ……例えば奪い取った土地や何かしらの利益のある鉱山などが、災害や魔物の襲撃が酷いとか。攻めた国が崩壊して人々が山賊化、自国民に多大な被害をだしたとか。奪い取ったはいいが、守りやすくない土地で苦労するとか。そのような多大な損害を生む可能性がある訳だ。これが『勝って損をする』という基本的な状態だ」


「それじゃあ、『負けて徳をする』って言うのはどういう事でしょうか?」

 カティアは次なる疑問点を尋ねた。



戦争か……。

これって説明するとすごーく長いですよね。

有史以来、相当数やってきた事ですが、いまだに終わりが見えません。

ウイルスよりも厄介です。


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