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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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幸運なる島7

「おいッ! バンドリー、部外者をこの場所に入れるっていうのは、どんな了解だ!」

 騒ぎに気が付いた男性がジョー達の元に早足で詰め寄ってきた。

 古ぼけた作業着姿の男性、かなり大き目の体格をしている。まるで武道家のようだ。

 短髪、あご髭が特に彼を印象付けている。


「いやいや、ゼンさん。見てくださいよ、観光目的の子供達が迷宮内を知りたいって言ってきて案内しただけですって」

 腰を若干引きながらバンドリーと呼ばれた長髪の受付の男性は口軽く物語を創作しながら答えた。


 ゼンと呼ばれた男性は、カティア達子供を見比べた。

 確かに子供と呼ばれて納得できる年齢、ホルビットのような種族と違い人族の耳もあり幼齢の見た目の差もないだろう、防具と武装をしているのは2人で、その他は獣人の子供でさらに私服、特に幼いゾゾロとプミプミがキューンと愛らしい顔でゼンを見つめると思わず顔がほころびそうになる。


「それに、ゼンさんも去年、子供が生まれましたよね。そう思うと追い返せなくって、ほら、せっかく迷宮のある町ですよ、一般人は迷宮の中を見れないけど案内したい親切心ですって」

 それとなくバンドリーは言い訳をゼンに告げる。

 特に子供が生まれたゼンは父性に溢れ、おいそれと厳しい事は言えないと言う事を知っている口ぶりだ。


「う・・…ん」

 悩ましい声を出すゼン。


「それに模型見せるだけですって、地図見せたって何にもなんないですよ、ほら、説明ならゼンさんもしてあげてくださいよ」

 巻き込もうとするバンドリー。

 彼の言葉には優しさ以外が見え隠れする。


「わかった……でも、作業の邪魔はするなよ」

 ゼンは了承するが条件をつけた。


――まるで、ツンデレの頑固おやじのようなストーリーが出来上がる――


「ほら、こっちに」

 愛想よく手招きをするバンドリー。

 心配そうにしていた子供たちが安心しきって笑顔でついていく。


 中央にある模型は天井から吊るされていた。

 見る場所と見る人がいたら芸術作品のように見えるオブジェは複雑怪奇な形をして、所々に色が塗られている。


「ふふぉ……スゴイヘンな感じ」

「わぁ、あんな風になってるんだ」

「なんか、ボコって大きいのがある」

「にゃあ? あたしらがいたメイキュのいりぐちってどこにゃ?」

 カティア、フィフィ、パポン、イアがそれぞれ近くに寄ってみて感想を口にした。


「迷宮の入り口は、ほら、吊るされている天辺の赤い旗が目印だよ」

 バンドリーは説明を続ける。


「これって実際の大きさをどれくらい小さくしたんですか?」〈フィフィ〉

「そうだな、だいたい200分の1だったと思う」〈バンドリー〉

「あの赤い色とか、ミドリ色とかってどういう意味です?」〈カティア〉

「赤は崩落などで崩れて調査できない危険箇所、緑は再度の測量や疑わしい点がある箇所、青は工事予定箇所、白はまだ調査を終えてない続きの時に入れる」〈バンドリー〉

「あの黄色い旗はなんですか?」〈カティア〉

「あれは拠点(ベース)がある箇所だよ」〈バンドリー〉

「あたちがいる町はどこかにゃ?」〈イア〉

「えっと町? この場所ならそうだなぁ………この部屋の壁らへんかな?」〈バンドリー〉

「けっこう近いかも」〈パポン〉


 子供たちが模型の事を聞いていると「お嬢ちゃん達」とゼンから声がかかる。

 手招きして作業台の移動式足場に上がるように見えるジェスチャーをしている。

 

「見ていいって、行こう」

 カティアは機嫌よくフィフィ、イア、パポンを呼んだ。

 そしてまとめて早足で歩み寄った。


 ニコはゾゾロとプミプミと一緒に模型を見ていたが、カティア達が足場台に上がるのを見て「自分たちも上がりたい」と子供たちがニコにせがんでいる光景をジョーは模型の中心部から少し離れて見守っていた。


「ジョー、お疲れさま」

 サイリアは近くによって声をかける。

 ジョーは静かに頷き、顔には疲れも見えた。


「よう、お前も疲れただろ」

「別に、島を観光して楽しいから平気」

「そこは素直に言うなよ」

「それじゃあ、ジョーは何をしたいの?」

「そうだな……宿屋に帰って酒飲んで寝たい」

「それってオヤジ臭いわよ」

 サイリアがジト目を送った。


「それはいいだろ、別に……。それにお前も模型見なくていいのか?」

「そんなに楽しそうじゃないんだもん」

「まぁな……迷宮の内部なんて攻略する者か関係者以外どうでもいいからな」

「後は熱狂的な迷宮好き以外はね」

「まあな……、あとは迷宮に憧れているガキくらいだ」

 ジョーはゼンの説明を聞いて一喜一憂するカティアを見て思った。


「カティアとフィフィの事? でも、それは英雄譚に憧れる年頃だもん、仕方ないわよ」

「お前も、そんな事を思っていた時があったのか?」

 ジョーにそう言われカティアは恥ずかしそうに顔を逸らす。


「そ、それよりも、なんで模型なんて造っているんだろうね。地図あれば十分な話でしょ?」

「いや、模型っていうのは平面的な地図と違って立体的だ。ほら、見て見ろ。例えばアソコとアソコを繋げれば早く移動できるとする。しかし、掘るにしても勘でやるヤツはいないだろ? 無暗に掘れば崩落の危険もある。だから正確な測量をして高低差を出し、空間を把握した上で掘る。俺だったらそうするし、模型があれば説明もしやすいだろ?」

「あ~ぁ、そういう事か」

「そうそう、軍関係者に成果を卸しているってそういう意味だろ、拠点が近くて通りやすくなるのは良い事だ」

「そっか、この島は各国の軍隊が取り仕切っているから、そこから工事の依頼が来るんだね」

「まぁな、色々と規制は厳しいが陸地よりも便利な部分もあるからな、特に食料関係」

「へぇ~どこかいいお店でも見つけたの?」

「あぁ、城壁の守備兵御用達の安くて美味い海の幸が食える所をね」

 ジョーは自信満々に告げた。



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