↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
379/444

幸運なる島5

 サイリアの説明に困惑の表情を浮かべている弟子達が理解していない事を理解はしている。しかし、どう説明していいかも彼女自身分からない状態だった。

 説明では、国を、身分、種族、宗教、性別をすて学問に没頭する者達の集まりだから、それが悪い事に思えなかったのだろう。


「えっと……なんて説明していいのかな? 国を捨てるって事はスゴイ重要な事で、もし家族が居た場合、迫害される可能性があるのよ。何処の味方にもならないという事はどこでも敵みたいな扱いでね。それに身分っていうのは上から与えられるものじゃない? 平民だったらいいけど貴族みたいな選民だとソレを捨てた時に上がバカにされたと感じるのよ。おなじように宗教っていうのは色々縛りの多い考えで、大抵、信仰を捨てると感じが悪いというか教会の庇護もなくなるし、国に属してないと色々と不利に働く事も多いという事なの。えっと……後、性別っていうのは結婚もしない事で、その、世間からの見栄えが悪いっていうか、なんていうか……わかった?」

 サリイアは話を砕こうとして焦ったような説明になってしまっているが、彼女もこれで精一杯といった感じでカティアとフィフィに了解を得ようとするが苦笑いで頷かれた。


「サイリア師匠、わかりました。つまりその組織に入ると周りに迷惑がかかるって事ですね?」

 カティアは確認の為に訊き返した

 

「あってるけど、全部説明するのは難しいの……色々とスゴイ組織だから」

 サイリアも悩む、“狂信学会(ゴーマン)”とは毒にも薬にもなる組織という事だ。

 説明できない事が説明となっている――。


「色々と危険な噂が聴こえてくる組織だからだ」

 ジョーはそう告げる。


「「危険な噂ですか?」」

 カティアとフィフィは同時に尋ねた。


「あぁ、いままで“狂信学会(ゴーマン)”の関係しているモノ、例えば魔道具、武器、薬学、魔術形態の研究、調理技術の確立、魔獣の生態研究、多様性汎用性の研究を数えればきりが無い、そして分野も膨大だ。大陸中……世界中でその功績を見る事ができる。多くが役に立っている、最先端のモノが知りたければ“狂信学会(ゴーマン)”の門を開けという格言があるほど、あらゆる国々と密接に連携していると言っていい。しかしだ……彼らに禁忌がない。有名どころを言えば“屍鬼(グール)”の研究をしているらしい。


「“グール”ですか! アレって死体が何かの精霊に乗っ取られた状態の奴ですよね」


「そう、それを自然ではなく、自ら起こす研究は死者への冒涜だな。死者に対しての対応だから教会関係者と衝突する。一般的に浄化の関係上の権利がらみもあるし、一般的な忌避感もある話だが……彼らにとってそんな事はどうでもいい事で“真理の究明”こそ第一捉えるからだ。どのような原因で変化を起こし観察し考察する為に死刑囚を使うらしいが――それでも簡単に受け入れられる人の数は少ない。だから危ういと思われ、そして避けられる一因になっている」


「師匠はどう思っているんですか?」

 フィフィは不意にジョーに尋ねる。

 

 ジョーはすぐに答えず一考した後――「……やはり有能な集団には変わりない。常識から外れてこそ得られる道もあるのだろう。しかし危険でもある、それは個人の危険というより国家単位、大陸単位の危険だという話だ。研究の先に滅亡という話かもしれない。だが、同時に“狂信学会(ゴーマン)”は各国の国家発展の恵みをもたらしている。現状で危険より有益だと各国に判断されているのだろう。破滅の危険があればその前に制御しようとするはずだし、それを俺がどうこう言える立場でもない。だから俺の意見は“わからない”とだけ言おう。結果は歴史が証明してくれるだろう」

 と――曖昧な物言いで答えを濁しておいた。


 “狂信学会(ゴーマン)”は立場も権威も各国に持ってはいない集団だ。武力も持たず中立であり研究の為にカネを貪る集団でもある。だが、それらが彼らの立場になり、そして国家間で言われる貴族のような公式な権力は保持していないが、非公式の名誉の積み重ね、噂、脅威が複雑にまじった実態の無い権威を持っていると言える。


 だからジョーもサイリアも危険だが有能、毒と薬でちょうど中和された危うい組織という曖昧な判断をしている。それは各国の人々が思う“狂信学会(ゴーマン)”という組織の平均的な評価でもあった。


「師匠、それでは狂信学会の人々はどんな気持ちでそこに属しているのでしょうね。国を捨ててまでってどんな気持ちなんでしょうか?」


「完全な好奇心だろ? そんな生き方の連中が集まってるから」


「なるほど……国を捨てるほど優秀なら、国の残った学者は優秀ではないという事か……つまり、国を捨てるのはカッコいい……」

 カティアはぶつぶつと独り言を言って納得しようとする。


「いや、違うからな。国に残っている学者でも優秀な奴はいるぞ。立場が違うだけで、そもそも優秀なら国を捨てずとも色々と出来るだろ? 変人だから国を捨て学術のみに生きようとしているんだ」

 焦ったようにジョーは誤解を説こうとする。

 権力や自らを捨てる=アウトローのようでカッコいい。――という憧れを捨てさせる為だ。


「まぁまぁ、でも立場が違うからこそ彼らの助けを我が国は納得している訳だ。彼らの立場は中立、知った事を五か国に平等に教えてくれるから重宝しているんだよ。さっき見た新種の魔物だってキッチリと解剖をしてどのような生態か推測してくれるからだ。国の学者なら成果の公開はないから秘匿するだろうが、中立の者を呼べば、そんなしがらみも無くなる」

 男性兵士は話が脱線しそうなカティアとジョーの間に入っていった。

 年季のある男性である。


「なるほど、彼らは中立であるなら……つまり孤高の存在ってことですね」

 カティアなりに“狂信学会(ゴーマン)”の連中を理解したようだ。前向きな意味で。


「でもね、カティアちゃん。学術を極めるのに国、宗教、身分、種族、性別を捨てないとダメなんだろうね?」

「確かに! 国にいても学べるからね。それなら制約の意味って……」


「いやいや、その制約の意味は学術の発展の障害となるモノを表しているという事らしい、つまり、それらが障害とあると“狂信学会(ゴーマン)”は考えたんだろうな」

「つまり、それが無いといいという訳ですか?」

「いや、彼らの発展にも困った部分はある、カネだ。研究するにも、調べるにも、確認するにもカネが必要だ。この金を持っているのは国、宗教、貴族、ギルド、大商人になる。つまり制約で省こうにも実際には関わっている」

「う~~ん、難しいですね」

「関係ないというモノでも、“あとあと”になって関係しているという話は多々ある。お前たちも色々な人に話を尋ねてみるといい、それが成長に繋がるさ」


 ジョーはカティア、フィフィの為にアドバイスを送った。

 彼女達は「わかりました、色々見て聞いてみます」と言ってまだ見ぬ島の秘密を探ろうとしていく―――。



毒にも薬にもなる話。

一杯ありますね。放射能、原子爆弾、核の傘、原子力発電所、一分野でもこんなにです。

学者についてですが――変人多いのは昔からアルキメデスとか面白い



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。