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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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出航

 飛行船の周りから大きな汽笛が鳴り響く。

 それに合わせて停泊固定塔に登る職員がかなり大きめの旗を振り出す。

 取り囲む職員にむけて警笛が連鎖的に鳴り響いた。

 出航の合図を飛行船の操縦者の送る。


 船尾、側面にある巨大なプロペラが徐々に回転数を上げ、大気を切り裂く音が響き渡り始め――ついに飛行船は出航となる。



 その飛行船の中、展望室にいるニコを始め、一緒にいるゾゾロとプミプミ、そして対面の席から外を眺めるイア、カティア、パポン、フィフィ。

 展望室自体は狭いのだが外を眺める事の出来る特別性のガラス窓が備え付けられており、

広い視界で周囲を見渡せる飛行船の休憩室みたいな役割の場所になる。

 座る場所のソファーと固定された机が並んでおり普通なら内側にむかって談笑している場所だが、子供たちはソファーの上に膝をつき外側の光景に興味津々だ。


「動いてる、動いてる!」

「何か揺れた」

「にゃ! みんにゃ! あそこ!」

「手をふってるね」


「《なにこれ、なにこれ》」

「《みて、あれ》」

「《船の固定台が外れたんだよ》」

「《とおくなるよ》」

「《そうだね、いま浮き上がりながら後退している所だよ》」

「《なんで?》」

「《そうしないと前の塔にぶつかってしまうからね》」

「《そっか~》」

「《ほら見て! ゾゾロ! あの家にいた》」

「《どれ! どれ!》」


 ニコは子供たちが腰掛から落ちないように支えながら一緒に出航を楽しんだ。

 初めての飛行船、初めての出航は怖さと高揚感で気持ちが激しく揺れる。


 そうして――お祭り騒ぎのその下の客室ではジョーが2段ベッドの下で静かに目を瞑り、欠伸をして「ようやく出航か……」と感慨ぶかけも無く、静かに過ごしていた。



***


 飛行船はある程度の高度に達すると反転し、航路をマニから北北西に進路をとり進んでいった。

 ジョー達の目的地とは多少ズレるが輸送船という事を考えれば遠回りも受け入れての旅の楽しみだから。


 


――2日後、朝。

 


空も明け始めた頃。ジョー達を乗せた飛行船は海上を飛び、目的地になる島の輪郭が見えてくる。

 

飛行船内部に警笛を告げる音が鳴るとカティアは寝起き姿のままで部屋から飛び出した。


「なに? ……何の音?」

 寝ぼけながら辺りを見回るが誰もいない。


「島付近に来たから警笛鳴らしただけだろ? まだ寝てろ」

 隣の部屋からジョーが眠たそうな眼つきでドアから顔を出して答えた。


「そうですか……ししょう……しま? 島だぁ!」

 徐々に覚醒(めざめ)していくカティア。

 彼女の重要な目的である、7大迷宮の1つ“幸運なる島”にたどり着いたからだ。


「わたし、展望室にいって見てくる!」

 寝間着姿のままカティアは駆けだした。


「せめて服は着替えてから行け」というがジョーは強制はしない、緊急時ではないが淑女たるものほとんど下着姿のままでの移動はどうかという反応だ。

 ちなみに、その後起きだしたイアとフィフィは戸惑いながらもカティアの後を追った。

 殆ど肌着姿のまま――。


***――閑話休題。

 

 日も明け、着替えを済ませたジョー達は移動していく。


「探索、探索♪」

 身なりを整え上機嫌に朝食を頬張るカティア。

 飛行船の中にある食堂――といっても町にある食堂と違い給仕の者も陽気な歌声を響かせる音楽隊も無い、調理場と座る場所だけの船内食堂でそこで出される腸詰(ソーセージ)とパンとありあわせのスープだけの食事を食卓の上に並べている。

 2日間ほぼ同じメニュー並び、昨日まで不服を口にしていたカティアだが本日は何も言わない。

 彼女にとってこれからの事が楽しみだからだ。


「たんちゃく、たんちゃく♪ 」、「みんあでぇ~♪」

 ゾゾロとプミプミが食べながら詠うように反応する。


「ダメニャ! メシの時はしゃべんにゃ! こぼれてるにゃ!」

 イアが食べ方の汚いゾゾロに注意をして口元を布で拭いた。


「でも、迷宮の町なんでしょ? そういう風に見えないんだけど」

 パポンは不思議そうに小窓から見える町の様子を見て言う。


「甘いわね、パポンちゃん。一見、普通そうに見えても7大迷宮に数えられた島よ、すっごい秘密とか施設があるはず。そう、迷宮とは人の欲望を惑わすから迷宮であって、すっごいお金がかかっているのよ」

 カティアがベテランばりの口調で説明していく。


「そうなんだぁ~」


「にゃにがあるにゃ? あたち初めてニャ! ウマいメシあるかにゃ?」

 妄想を膨らませてイアは言う。


「フフフッ、 知らないと思うけど『迷宮ある所に美食(グルメ)あり』と言われるほど美味い飯があります」

 書物で得た知識から1つ上のわかった感じを出してカティアは答えた。


「ほんとかにゃ!?」

「そうよ! みんなで食べに行きましょう」

 カティアの号令に元気な返事がする。特にフィフィの情熱はスゴイ。

 これまでの船旅で少し食事を強制的に節約されていたからだ。


「はやく上陸許可降りないかなぁ~」と感慨深く思いをはせてカティアは窓の外をみた。


 そして――その後ろ席で静かに食事をとっているジョーは静かに思案する。

(迷宮の期待値、爆上がりだな―――でもな、カティア、その食費は“誰が”出すんだ!)

 と、軽く振り返って、ひと睨みしておいた。




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