飛行船2
飛行船の後方付近、荷物格納部に繋がる可変式通路を渡り終え、飛行船格納庫の中に入る。
「お客さん、悪いけど、この区画は船員以外お断りだよ」
この船の船員だと思われる若い男性が声をかけてきた。
「馬車と馬を預かるならココだって職員に教えてもらったんだけど」
ジョーが返答すると。職員は一瞬、顔を強張らせて、そして脇に挟んで持っていた書類の束を広げた。
「無いな……ちなみに荷積みはどの程度で?」
職員は尋ねてくる。
「馬車4台と馬4頭の1台割引き」
ジョーの返答にペラペラと紙を捲る。
「無いなぁ~、受付で料金は?」
「当然払ったよ、飼葉代も込みで」
「そっかぁ~、報告まだかもしれないから……確認の為に暫く待ってもらえますか?」
困った様子の職員。
「すぐに出来ないのか?」
「輸送船ですからね、積み荷の確認は重要案件なんですよ、ココを省いたら意味がない」
(あぁ~めんどうだなぁ)とジョーが考えていると「おぉ~い、パテロ!」という掛け声と共に若い職員よりもさらに若い服装違いの作業員が現れた。青年近くの少年船員と言ったところか船員でも格式があり上司と部下の関係に似ている。
「なんだよ、いま応対中だ! 急ぎじゃなければ後にしろ」
「これこれ、渡してくれって、忘れてた」
手に持っている1枚の紙、それを渡した。
「……これだよ、バカ! 遅い!」
スパーンと頭を叩く。
「いてーなッ!」
「忘れる方が悪い、仕事に戻れ」
不貞腐れた様子で若い作業員は去っていく。
若い職員はいい笑顔になると「すいません、確認したいので乗船券を出してもらえますか?」と丁寧な口調でお願いする。
ジョーは乗船券を腰鞄から取り出すと若い職員は乗船券を確認し「番号は問題なし、数も合いますね。問題ありません」といって持っていた用紙と乗船券を交互に見返し確認をとっていく。
「それじゃあ、預かる前に注意点です。馬車の幌は外してください、布に包んで車輪ごと固定しちゃいます。目的地到着後まで動かせませんので、その前に貴重品は船室に持っていってください。後は……馬房はあそこの黄色い明かりがある所にあります。そこに髭の生えた船員がいますので預かってくれます。預けた後は奥にある緑色の明かり付近に通路があってソコから船室に繋がっていますんで上にいる船員に部屋に案内してもらってください、あとは……何か質問はありますか?」
テキパキとはいかないが不慣れな様子で職員は説明をしていく。
「寄港地で馬は下ろせるのか? さすがに狭い場所で何日も動かさないでいるのは具合が悪い」
「可能ですよ。ですが出航時間までに戻ってきてください」
「わかった、他には無い」
「それじゃあ、ココに不備が無いなら確認の著名を」と言って職員はジョーに手持ちのペンを渡す。
確認書にサインをして、それをもう一度職員が見ると軽く頷いた。
「それじゃあ、準備が整ったら声をかけてください」
そういって職員は去っていった。
「さぁ、話は聞いたな、準備を始めるぞお前たち」
ジョーは荷台にいる弟子達に声をかけた。
「あいさ~」「にゃいさー」「ハイさー」「ぽんサー」
まるで揃ってない声が返ってきた。
***
「それではごゆっくり……」
若年増な女性船員はゆっくりジョー達に礼をすると足早に去っていく。
(こういう所の気配りは輸送船に求めるのは酷か……)
冷めた対応の連続で部屋やその他の設備も殆どせずにいる職員に半ば諦めの様相でジョーは気持ちも切り替えた。
部屋は4人部屋のように寝床が2段ベッドが部屋の左右についているだけ、後は小さな服入れ兼荷物入れが部屋の入り口に申し訳程度にあるだけの簡素な部屋、それを4部屋とっているだけだ。船内の内部屋の為、景色を見るには側面の廊下側に出るしかない寝る為だけの部屋なので乗船費用が安いだけの事はある。
「さぁ、荷物は運び込んだわ……あとは!」
元気な声が廊下に響く。
声の主はカティアだ。
「――船内を見て回るわよ!」という掛け声とともに「「「お―――ッ!」」」と今までにない元気な声がかえってきた。
イアやパポン、フィフィにゾゾロとプミプミも集団となって目を輝かせている。
「にゃ? どこいくにゃ?」
「まず、上に共同の展望室があるらしいからソコを目指しましょう」
「《そとー、そとー!》」
「にゃ? ゾゾロは外いきたいって言ってんにゃ!」
「わたしも、もう1回飛行船を外から見たい」
「いいわね……よし、全部いきましょう」
廊下の真ん中に固まってこれからの予定を立てる子供たち。
「いや、外には行くなよ、積み荷と点検が終わったら出発だから何時でも出航するぞ」
ジョーは助言を与える。
「仕方がありません、外には行かず船内をくまなく捜索します。ついてきなさい!」
カティアの合図と共に子供たちが移動し始める。
「立ち入り禁止の場所もあるからぁ~、お~い! 聞いてるか!」
ジョーの叫びも虚しく子供たちは「は~い」と空返事をして廊下を進んでいった。
「子供たちの面倒は私が見よう」
ニコは笑顔のままジョーに言うと帽子を被り直し、ゆっくりと後を追って行く。
「任せた……」
ジョーはそのまま大きな欠伸をした。
首を鳴らして、肩を軽く回す。
「寝るか……」小さく呟くと【おい、船に着いたからって油断はするなよ】とスネークは背中から声をかけた。
「長い旅路なんだ、どっかで気を抜かないとやってられないだろ?」
取っ手を押して部屋の中に入っていった。
補足。
船内のサービスが何故か悪いです。
その意味はサービス業の発展に近いかも、日本では商品を売る為に丁寧な接客、過剰包装などがありますが、海外に行くと色々不便です。文化的な差と捉えて構いません。(スーパーのレジなど遅いし喋りながらやる、チップ代についてサービスの差がある、よくわからないサービスを押し付けられる等々)
その為、実質微妙ではありますが冷たい対応の海外風という事で。




