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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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酒盛り

両替を終えて時が経過、その日の夜、マニの領地内にある集合宿屋(=食堂と宿屋併設)の大食堂でジョー達は全員で食事をとっていた。

 ジョーを初め大人達は少し酒を嗜み、顔を赤めていて非常にリラックスした雰囲気。

 移動中は酒を断ち、警戒をしている時と違い、この場所は城壁に囲まれ警備兵の守る安全地帯、多少の気の緩みも出ている。


 そんな喧騒とした多くの人々が食事を楽しんでいる場所の一角に座ったゾゾロは美味しそうに味付けされた骨付き肉を頬張る。

 味も好み、なにより噛み応えが自分にあっているようだ。

 隣にいるプミプミは野菜と豆スープをゆっくりと食べているのとは対照的に一心不乱という食事の仕方。

 それによって速く食べ終わり、いつの間にか骨付き肉からただの骨だけが残った。

 コリコリと骨を噛むがもう肉の味は無い。

 寂しく思ったゾゾロだったが、座ったテーブルの向こうはちょうどイアとパポン、それにカティアとフィフィも座って喋っているのが見えた。


「にゃ~……にゃるほど、10と12のにゃら……品もんを買って―――売ると―――」

「そうそう、こっちの方が好いよね」

「にゃ! ポンちゃんわかったニャ! ありがとにゃ!」


 イアはパポンは昼間に寄った両替所での話の理解できない部分を詳しく教えられていた。

 しかし、ゾゾロにとって重要なのはそこでは無い。

 イアの前にある皿、そこにゾゾロが頼んだのと同じ肉料理が残っていた。

 その皿を見つめるゾゾロ。

 イアはその熱い視線に気がついた。

 皿の方に視線を誘導。肉のある皿とゾゾロの無い皿を確認する。


「《ニャ! ダメにゃ!》」


 イアは皿を引いてゾゾロから離す。

 ゾゾロはイアに言われて悲しそうな表情をつくった。

「きゅーん、クぅーン」と泣き声を鳴らす。

 可愛らしくも儚い可愛らしい表情にイアの心は揺れる。


 ――イアは葛藤する。


「《しかたねぇにゃ……食べるニャ》」

 皿をスッと差し出すとゾゾロの顔は晴れやかに、そして尻尾は極限までフリフリさせていた。


「イア、その前に頼めよ」

 ジョーが並び隣のテーブルから一連の行動を見て声をかける。


後ろを振り返り「頼んでいいのかにゃ?」と訊いてきた。


「いいよ…いっぱい食べろ…おば――おねーさん」

 ジョーは中年ぽい給仕の女性に手招きをして声をかける。

 妙齢の彼女に声をかけるコツを見せ、呼び寄せると「骨付き味付け肉……頼むけど他に注文ある奴いるか?」と言う問いかけに「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」と元気な声と「パンのつけてください」という追加も入りフィフィに至っては×(かける)3皿要求するという事でジョーは渋々給仕の女性に料理を注文した。

 笑いながら女性は机の脇に下げてある木札に印を記入していくとそのまま去っていた。


 ジョーはため息を吐きながら座り直し、再び食事の場に戻った。

 雑談をするなら食事の場が最高だ。

 これからの事を気軽に話し合える。


「――とにかく、ここを出発したら中継地2つ挟んで“幸運なる島”に荷積みの入れ替えで宿泊する予定らしい。その後……えっと、イーララック国、ペトロイカイ国、サンバロン国、ベドゴレ共和国と行って、ぺテナダ国のアブブロン領に到着するらしい。航程は7日だけど運行上問題が発生する可能性があるので2日3日遅れると考えて9日位か? それくらいの時間がかかると見てくれていい」


 ジョーは席に座る、ニコ、アンジー、ミック、サイリアに向けて説明をした。

 行程の説明は旅する者の基本だ。どこにどやって到着するのかを話し合う。


「わかった、それだったらペテナダで“旅の予防”は受けられるのか?」

『旅の予防』→大陸の風土病の予防接種。

 ミックは尋ねる。




「あぁ、町の治療院で受けられるそうだ、他に質問はあるか?」


 ――無言の頷き。特に質問は無いみたいだ。


「ありますッ!」

 予想外の方向から質問が飛んできた。カティアの声だ。

 彼女は食べるのをやめてジョーのすぐ傍に顔を出した。


「なんだよ、急に!」


「いえ、師匠が言い間違いでは無ければ、あの七大迷宮のひとつ“幸運なる島”に行くと聴いたのですが?」

 訝しむように、それでいて眼だけはギラついていた。


「言ったよ、荷積みと点検でその島で一泊する事になる」


「やッ……たぁ――――」

 細く、小さい声で喜びを噛みしめるカティア。


「おい、迷宮には入らないからな……」

 カティアは勘違いしているようなので声をかける。


「入り口までなら可能では?」


「何で行くんだよ」


「観光です」


「出発時間がわからないだろ?」


「それじゃあ、余裕があったら見にいきましょう」


「あぁ。余裕があったらな……」

 めんどくさそうにジョーは言う。


「あ――! その反応は行きませんね、絶対に行くと約束してください!」

 カティアはジョーの両肩に手で鷲掴みにして激しく揺さぶった。


「オイ……オイ、酒がこぼれるぅぅ」


「おねがい……迷宮、いきたいぃぃ~」

 カティアの強硬手段的お願いに――。

「わかった、わかったからぁ、揺らすのやめろぉ~」

 ジョーは仕方がなく了承する。


「本当ですか! いぇ~」

 パット手を放し、元気よくカティアは離れた。

 喜びながら席に戻る。

「にゃ? どうしたニャ?」、「へへへッ、みんなで迷宮いけるよ」、「にゃ? メイきゅ? それってウマいのかニャ?」、「食べ物じゃないよ、見に行くところ」と、嬉しそうなやり取りが聴こえる。


「いや~~、ジョーも弟子に甘いねぇ」

「言ってやるなよ、難しいんだろ異性の弟子って……」

 アンジーとミックが微笑ましくそれまでの経緯を聞いていて感想をもらした。


 こうして、食堂での酒盛りは続く――。



※注意。

 両替の話、正確には為替ルートの話ですがよく聞く『円高ドル安』など2国間の貨幣価値の話です。

 実際に輸入輸出に結びついているのですが、事細かく話しても世界全体の構造を説明しなくては難しいと話を省略させて頂きました。

 おカネは国家にとって大事だし重要だよ。という事が理解できていれば大丈夫です。


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