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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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マニ

 馬車はガラガラと音をたてて綺麗に舗装された通商路を進んでいく。

 開けた草原に線を描くような筋の壁が横切られ道の区切りをつけていた。

 遠くに塔のような建物が見え、所々に建物とその陰が見え始める。

 

 紛れもなく――町だ。


「見えたぞ」

 ジョーはひとり馬車を操作しながら薄暗い幌の中に告げた。

 ドタドタと音がして乗っていたカティア達が馬車の荷台の前に飛び出した。


「あれがマニ!」

「あそこに空飛ぶ船があるニャ?」

「そうだよ、それに乗るの」

「ねぇ、イアちゃん、どこにあるの?」

「きっと、あそこだニャ! ポンちゃん」

「すぐに乗れるかな」

「わたし、飛行船のるの初めてなんだ……」

「わたしも!」

「にゃ~! はじめてニャ!」


 眼をキラキラさせた四人衆がもうすぐ着く“国領マニ”の城壁を見ながら、これから起こる素敵な空の旅を想像していく。


「すぐには乗れないからな、予約して、それからだ……。それとサイリアの様子はどうだ?」

 後ろで仮眠をとってるはずのサイリアを気にした彼はカティア達に尋ねた。


「にゃ?」

「師匠、疲れて寝ています」


「そうか、起こすなよ」

 ジョーはそう言って前を向いて馬車の速度を上げるように手綱で合図を送った。

 ここまで来るのにレットブローの追跡を気にしたサリイアは日中夜警戒を強めて気を張っている状態が続いて、疲れがでていたのだ。


「船の予約をしたら宿をとる事になるから、そのつもりでいろよ」

 ジョーがそう告げると――「「「「は~~~い」」」」と何時になく上機嫌な返事がかえってきた。


***


「―――だから、馬車は一緒で……。――人数は――。――王国の依頼だから安くならない? ――どの期間――どの航路で?――。……あぁ、それでいい」

 ジョーはマニにある飛行船の発着場近くの受付。正確には『パンテロン王国マニ領飛行船発着場、船券販売場売り場第2受付』と書いてある。

 その受付者とジョーとの間で色々と購入に対しての決め事と出発時間、行き先の情報などなどを細かく聞いていた。


 そして――その他の者は。


『ねぇねぇ、あれなーに? でっかい棒みたいの?』

『あれは“ヒコウセン”がとまる所だよ』

『アレにのるの!』

『そうだ、ゾゾロはあれに乗るんだよ』

『プミプミも?』

『みんな一緒だ』

 ニコは建物内の窓近くでゾゾロとプミプミの話し相手になっていた。

 長椅子に座りながら窓枠に手を乗っけて見ているゾゾロとプミプミは目の前にある巨大な物体が動くという強大なロマンに胸を踊らせて眼を輝かせる。


『ねぇねぇ、アレは? ぬのフってるのは?』

『あれは……ヒコウセンを操作している人に合図を送っているんだよ』

『アレは、アレは! あの台のうえにいる人!』

『あれはロープでヒコウセンを固定する係りの人だよ』


 絶え間ないふたりの質問にニコは答えていく。

 笑顔で答えて笑い合い嬉しそうに尻尾を振るゾゾロ、それに対し優しく頭を撫でるニコはふたりの父親のようだ。

 

 そんな3名のすぐ近くで“おのぼり観光者”のようにキャーきゃーと騒いでいるカティア、フィフィ、イア、パポンの4人は笑顔でこれからの事を楽しそうに話し合っている。


「ねぇ、飛行船はね、その地域に停まったりするから、その土地の食べ物が食べられるよぉ~」

「ウマいもんかニャ?」

「当然、見た事もない美味しいものかも」

「船旅も豪華かな?」

「そうでしょ、船から見える絶景はどんなのかなぁ~」

「みてみたい」

「どんな所かなぁ~、どこに寄るのかなぁ~」

「いいよねぇ~」

「いろいろみんなで見るニャン!」


 美味しいモノを食べ、優雅な船旅を想像する4名の情熱は上昇志向のままだ。

 そんな浮かれ気味の所にジョーは頭を搔きながら疲れた顔をして帰ってきた。


「終わった……いくぞ」と声をかけた。


「予約はとれたか?」とニコが子供たちの世話をしながら話しかけてくる。


「あぁ、明日の便だから……宿とるぞ」と不機嫌そうに言う。

 それもそのはずだ、乗船費用1名銀貨5枚×15の75枚(子供割引なし)、馬車輸送費、銀貨10枚のそれが3台、輸送中の食事代とエサ代で銀貨142枚の出費になる。ちなみに各停泊場所は別途だ。


「師匠、終わった?」

「みんなで船を見るニャン!」

「あんな大きな船に乗るんですか?」

「アレってどういう風に浮いているんですか?」


 矢継ぎ早にカティア、イア、フィフィ、パポンから質問が飛ぶ。


「あ~~、その前にまだやる事がある、“両替所”に行かないといけないから質問は後でだ」と早々にこの場所から立ち去ろうとする。


「両替所? なんで?」

 カティアはマヌケな顔で質問をした。


「いいから行くぞ、陽が落ちる前に宿をとって用を済ませないとダメなんだ!」

 語尾を強めてジョーは急ぎ足で出口に向った。

 それを追いかけるようにカティア達も続く。


***


 ジョーが「両替所に行く」というと「これも頼む」とミックとアンジーが革袋を投げて渡してくる。つまり“一緒に両替してきてくれという”意味も込められた行動だ。

 かわりに今夜の宿を探してくれるという事で話がつき、ジョー達は二手に分かれた。

 無警戒かもしれないが、ここはマニの領内、城壁に囲まれた場所で魔物が入ってこない安全地帯になるから軽率な行動もとれる。


 結局――ジョーの他に、両替所についていきたい旅高揚効果で興奮気味のカティア、フィフィ、パポン、イア、そしてそれついていこうとするゾゾロにプミプミと少し話は拗れて、結局ニコもついていく事で決着した。



遅れました。色々と大変です。


次回、この国の通貨と価値編です。仮称ですが……。

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