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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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素顔

 結果だけ言えば巨漢の男がすごいスピードで駆けてきて、走り去った。

 水飛沫とドップラー効果の叫び声を残して。


(あの野郎!)

 顔に掛かった水を拭いながらジョーは走り去った方向を向いた。


 小さくなる黒い点が止まり、再びこっちに戻ってくる。


「ここにいたかぁああああああああああああああああッ!!!!!」

 ジョーの近くに急停止したレッドブローは叫びながら登場した。

 巨漢の男が獣(魔獣類?)の皮を被りながらの登場はさすがに凄みが強い。


「おう、お前は……“ブルーパンチ”だったか?」

 ジョーは輪郭を思い出したが名前は曖昧だった。


「レッドブローだっていっただろッ!」


「すまん、忘れた訳じゃないんだ。思い出したくなくて忘れようとしていただけだ」


 ――失礼ともとれる言い方をする。

 

「そうか、なら仕方ない!」とレッドブローは清らかに了承する。


「ところで、誰かを探しているようだったが?」


「それは……お前だ! お前! 中途半端な決闘( タイマン)だったから再戦をするために探していたのだ! 俺の心は半分もやもやしたままだったから早く決着をつけたいッ!」

 ジョーを指してレッドブローは宣言した。


(あぁ、あの丸め込んだ一件か)

 ジョーは思い出す、1対1の決闘(?)と言いながら仲間を使って集中攻撃して弱らせた後、多くの味方と攻撃して逃げるように促した事を。


「再戦? 決闘?」

 ジョーは不思議そうな顔をしてとぼけた。


「何を言う、俺との決闘(タイマン)だ! 漢の戦いだろ!?」

 声に怒りが籠っていた。


「うーーん、ひとりで闘おうかと言ったが“タイマン”とやらを了承した覚えは無いし、何よりあの場から逃げたのはそっちで、こっちは一歩も動いてない」


【つまりはお前は逃げ出してこっちの勝ちって事だ】

 スネークが柄からギロリと目玉を覗かせて答えた。


【んなッ訳ねーだろ! あん時は“いちじてったい”っていう作戦だぜ! まだ勝負はついちゃいねーぞ】

 コウベェことコビーがレッドブローの腹から叫んだ。


【バカが! そりゃあ負けた奴の言い訳だ! ウシ野郎!】

【なんだってヘビ野郎が! 決着はついてねぇぞ!】

【ついてる、逃げたお前の負けだ】

【ついてねぇ、決着は負けと認めたら負けだ】

【バカめ、状況的に勝利する事もあり得る。逃げて行ったのはそっちだ】

【なんだと! 逃げてねぇぞ! 大きく後退しただけだ】


 言い争っている剣と鎧。

 その間に入るように「おいおい止めねーか!うるさいだろ」とジョーが声をかけた。


「まぁ、お前さんの言う事も解るが、終わった事だ。いまさら蒸し返してどうなる」

 と諭すようにジョーは言った。


「いいや、終わってねぇ! あんなに邪魔が入った決闘(タイマン)は違う! 続きをやる、これは漢(おとこ)の約束だ」


「約束かぁ、約束ねぇ~、そんなものした覚えはねぇよ……」


 熱くなるレットブロー、冷めているジョー。二人の反応は対照的になった。


 そんな最中、[ダンッ]という強い足踏み音が荷台から操縦席に響くと「ちょっとあんたッ! 失礼じゃない!」とカティアが飛び出して指さしながらレッドブローに喰ってかかる。

「なんだ、小娘!」

 レットブローも吠えた。


「小娘じゃない! カティア・フィル・レブ・ベルンバッハよ! あなたこそ兜も取らないで一方的な物言いじゃない、お願いするにしても礼儀ってものがないのよ!」

 カティアも吠える。


「カティア、奥にいって、危ないから」とサイリアが心配そうに前に出てとめた。

「カティアちゃん」とフィフィがカティアの服を掴んで荷台に引っ張り戻そうとしている。


 が――カティアは止まらない。


「大体、その場から逃げたのはアナタでしょ! それはテキゼントウボウで負け犬の発想とおなじ! あとで文句言ったって遅いのよ! 女々しい男!」


 そう言い切った後――「女々しい……俺が」と言ってレットブローは衝撃を受けたように止まった。


 そして束の間の沈黙の後――。

 彼は冷静さを取り戻し、「確かに女々しくも再戦を希望し、そして礼儀にはんしたようだ」といって獣のフードを頭部からとって「コビー、脱がせてくれ」と彼は頼んだ。


 頭部の鎧が生き物のように動く。

 角は後部に収納され、顔の部分は機械が外れたかのように二つに割れ、輪郭を露にしていった。


 そこに現れたのは赤髪の鬼リーゼントヘア(ロール付き)、燃えるような眉毛。猛獣のような目元、そしてなにより印象的なケツアゴ(大)のイカツイ青年が現れた。


「これでいいだろう?」と素顔を現したレットブローにカティアはマップル(現物、半熟成)を投げつけた。

「――ふげぇ!」と彼の顎に当たる果実(マップル)。


「アゴが気持ち悪い!」とカティアは一喝。

「なんだと、このガキ!」

「なによ!」と今度はカティアとレッドブローの間で争いが発生。

「こらこら、食べ物を投げるな!」

「カティアは下がって」


 そんなワチャワチャとした間に旅の仲間たちが集まってきた。



彼の顔がやっと出てきました。

話の中で鎧兜を被りっぱなしで退場していきましたので。


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