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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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マニまでの道

 ジョー達はパンテオン王国に入りそのままさらに北北東に進んでた、飛行船の発着場がある国領マニに向けているのだ。


「はッ」、「よッ」、「にゃー!」、「ハッ」、「クッ」、「にゃーん?」

 通商路から少し離れた草原の道端でカティアとフィフィは木剣を持って素振りをし、イアは殴るような格闘術を見せていた。


[パーン]と乾いた手拍子が響く。

「止め!」

 ジョーは強く言った。

 途端に素振りを止めるカティアとフィフィは背筋を伸ばす。

 まだやっていたイアも焦りながらも同じようにした。


「よし、終わり、休憩にするぞ」


「「はーい」」「にゃん!」


 遠くではニコ、ミック、グレー、ラリーと合同でゾゾロが一緒に訓練をしていた。

 なぜ、そのような事をしているのかと言えば馬車の移動は乗っているだけだが、引いている馬たちは違う、所々で休憩を挟まないと潰れてしまう危険もあるからだ。

 ついでに長時間座っていると身体も鈍る為、運動がてら稽古をしていたという経緯だ。


「ほら、ゾゾロ、転んではいかんぞ」

 ニコが棒でゾゾロをコロンと地面に転がした。

「ワン!」と甲高い返事が聞こえてくる。


「これが足払いからの突きになる」、「ゾゾロ、無防備なままだぞ」

 ミックもラリーも気軽そうに話して笑い声があった。


「オ――イ、休憩するぞ!」とジョーは声をかけた。


***――閑話休題。


 炭火で燃え残った熱がジョー達の体を温める。

 お茶を口に含んで一息ついていた。


「ふぅ~、あったまるな」

 ジョーは静かに息を吐きだすと少し息が白くなっていた。

 周りにいる仲間もそれぞれが気安く座りながら談笑している。


 マニまでの道は高所にある山と渓谷を超えていかなければならない、次第に近づくにつれ気温は下がっていた。


「ちょっと、ジョー。いまはどの辺なの?」

 厚手の上着を羽織ったサイリアが隣に来て尋ねてきた。

 ジョーは手持ちの地図を広げて説明を始める。


「このまま道なりでいい、けど、途中で分かれ道があって看板と特徴的な巨岩が見えたら右の道に進めって事だ」

「ふ~ん、順調ってことね、あとどれくらいかかりそう?」

「そうだな……2日くらいか? でもその前に、これからもっと厳しくなるぞ」

 ジョーは山の方を振り返る。

 雲が黒く、暗沌とした空に変わり始めていた。 

 雨が降る前兆であり、気温もさらに下がるだろう。


「あ~、やだなぁ、寒いだけならいいけど……」

 サリイアは嫌そうに空を眺める。


 馬車の移動で最適なのは晴れの日、雨が降ると道がぬかるんで移動速度が下がるのは常識だ。

 さらに寒い中、雨に濡れての進行は体力を自然に奪う、視界も遮られ緊張感が増す事になる。


「そういうな。厳しいけど山1つ超えて平野部の窪地に入らなきゃ野営も出来ない、それまでの辛抱だよ」


「わかった、この辺に集落も無いからね」

「そう言う事、後で子供たちに毛布でも渡しておいてくれ、さらに寒くなるから」

「わかった」

 サイリアはお茶をチビチビと飲みながら返事をした。


***


 馬車をゆっくり走らせながら、ゆったりとした坂を上がっていく。

 急勾配の道は馬車も登れなくなるので、もし止まってしまったら降りて引っ張るか押していくしか方法はない。

 さらに現在は小雨が降り、道のぬかるみもあり景色も少し暗かった。


 静かに辺りを見回しながら警戒している。

 雨の音が邪魔をして視界に頼っている現状は予想以上に神経を使う。

 

 そんな中でカティア、イア、フィフィ、パポンは毛布に包まって身を温めあっていたが、次第に静かになって一カ所に纏まって眠りに入っていた。


 そんな弟子をジョー達は起こしはしない、むしろ寝てくれた方が静かで警戒もしやすい。


 雨の音、幌に弾く雨粒の音だけが鮮明に残る中――イアはひょっこりと起き上がった。


「にゃ?」

 不意に辺りを見回すが薄暗い馬車の中で何も見えない。

 耳をせわしなく動かして辺りを探る。


「どうしたのイア?」

 サイリアが振り返って尋ねた。


「にゃんか……へんにゃ声が聞こえたニャ……」


「どんなの?」


「にゃ? さわいでるにゃ……こっちに来る感じだニャ!」


「どこからだ?」

 ジョーは険しい顔で尋ねた。


「後ろニャ…… へんなかんじニャ」

 イアは後方を指さす。


 そして、ジョー達のはるか後ろでは獣の皮を纏った異様な巨漢が雨の中を全速力で駆けていた。

 

 接触まで――もうわずか。


***


 初めは小さな振動から、それが断続的に大きくなってジョー達のいる通商路を追いかけていた。

 路肩に馬車を止め、警戒態勢をとるジョーは経緯を見守っている。

 脅威は無駄足かもしれない、魔物にしても一直線にジョー達を追いかけている事は考えにくい。やり過ごす事も可能かもしれないと思ったからだ。


 わずかに蛇行した先に黒い塊が動いているのが見える。

 大型の魔物出ない事は大きさと輪郭から確認できたが、異様な速度、人型だと判断出来る以外には何も分からない。

 もしかするとわずかに小型の獣鬼(トロール)の類、それも異様に足の速い種類の変異種かもしれないという疑惑はぬぐい切れない。


「なんだ? 二足歩行はしているから魔獣の類ではない……はず?」

 単眼望遠鏡からみえる状況を確認する為に近くにいるサイリアに伝えるが、獣(=魔獣)の毛皮を被っているだけで脚しか見えないので判断はつかなかった。


 そして――「・・・………ぅぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」という叫び声と共にジョー達の馬車の脇を全速力で駆ける物体と声に聞き覚えのある事を彼は思い出した。


(なに……いまの声は……)

 もう会いたくないと願った人物、それに異様に大きい体躯、身に覚えのある長柄の武器。

 レッドブローの姿形が頭の中に浮かんだ。


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